NTTは、コイルなどの補助回路を必要とせずに、ゼロ磁場で最適動作する超伝導磁束量子ビットを開発した。外部磁場を必要とせずに、マイクロ秒オーダーのコヒーレンス時間を持つ磁束量子ビットの作製に成功した。
グリッドと電気通信大学の共同提案「仮想発電所受給調整におけるリスクヘッジ型量子古典確率最適化手法の開発」が、新エネルギー・産業技術総合研究所(NEDO)のプロジェクトに採択された。
富士通は産業技術総合研究所の「超伝導ゲート型量子コンピュータ」を受注した。2025年初旬に産総研の量子/AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターで稼働する予定だ。富士通によると、国内ベンダーが商用量子コンピュータシステムを受注したのは初めて。
日立製作所は、シリコン内の電子スピンを量子ビットとして用いるシリコン量子コンピュータの実用化に向け、量子ビットを安定化できる量子ビット操作技術を開発し、従来手法と比べて量子ビットの寿命を100倍以上延伸できることを確認した。
富士通と理化学研究所は2023年10月5日、埼玉県内で会見を開き、共同で設立した理研RQC-富士通連携センターで、国産2号機となる64量子ビット超伝導量子コンピュータを開発した。
デンソーが独自の疑似量子技術「DENSO Mk-D」を開発。古典コンピューティングとイジングモデルを用いて組み合わせ最適化問題を解く疑似量子技術では、これまで100万変数規模の問題に対応するのが限界だったが、「世界で初めて」(同社)500万変数規模の問題を解けることを確認したという。
日立製作所はシリコン量子コンピュータについて、従来より効率良く量子ビットを制御できる新方式「シャトリング量子ビット方式」の効果を検証したと発表した。
IBMと東京大学は、127量子ビットの量子チップである「IBM Quantum Eagle」を搭載したゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One with Eagle プロセッサー」を2023年秋ごろに国内で稼働開始すると発表した。
グルーヴノーツは、量子コンピュータを活用し、総菜の製造ラインにおいてロボットと人が最適な形で協働できるシフトを作成した。
凸版印刷と情報通信研究機構とは、量子コンピュータでも解読が困難な耐量子計算機暗号対応のプライベート認証局構築と、同局における改ざん検知機能などの有効性検証に成功した。
理化学研究所は2023年3月27日、超電導方式を採用した国産量子コンピュータ初号機による「量子計算クラウドサービス」を開始した。
NTTデータと香味醗酵は、組み合わせ最適化技術を活用した匂い再構成技術に関するパートナーシップ契約を同年4月1日に締結する。
理化学研究所、産業技術総合研究所、情報通信研究機構、大阪大学、富士通、NTTの共同研究グループは2023年3月27日から国産超伝導量子コンピュータ初号機をクラウドに公開し、外部からの利用を開始すると発表した。
大阪大学と富士通は、量子コンピュータの実用化を早める新たな量子計算アーキテクチャを確立した。
NTTと東京大学、理化学研究所、JSTは、最先端の商用光通信技術を光量子コンピュータに応用することで、世界最速となる43GHzのリアルタイム量子信号の測定に成功したと発表した。
量子技術による新産業創出協議会をはじめとする4団体は、量子技術に関する国際的な協議会を正式に発足することに合意した。
富士通は、量子コンピュータシミュレーターを用いて、RSA暗号の安全性を定量的に評価する実験に成功した。現状では、RSA暗号が「ショアのアルゴリズム」に対して安全であることが証明された。
NTTは、産業技術総合研究所、大阪大学量子情報・量子生命研究センターと共同で、未知ノイズの影響を抑えて、高精度にセンシングできる量子センシング技術を開発した。
IBMは、433量子ビットを有する量子プロセッサ「IBM Osprey」を発表した。同社の量子プロセッサの中で最大の量子ビット数を有し、より複雑な量子計算を実行できる。
産業総合研究所(産総研)は、現在進めている量子コンピュータと量子アニーリングマシンに関する研究開発の状況やつくばセンター(茨城県つくば市)の研究施設を報道陣に公開した。
NECは、量子暗号技術と秘密分散技術を融合した量子セキュアクラウドシステムを活用し、設計情報の最適化の処理、高秘匿伝送、分散保管に成功した。専用回線を敷設せずに、ユーザー環境でも量子セキュアクラウドシステムを動作できた。
東芝が超伝導回路を用いたゲート方式量子コンピュータの高速化と精度向上を可能にする可変結合器の新構造「ダブルトランズモンカプラ」を考案した。量子コンピュータの基本操作の一つである2量子ビットゲートについて、24nsという短いゲート時間で99.99%という高い精度(誤り確率0.01%)のゲート操作が可能になるという。
NECは2022年9月9日、ICT機器の保守サービスを提供するNECフィールディングと共同で、量子コンピューティング技術を活用した保守部品の配送計画立案システムを構築したと発表した。2022年10月から東京23区内での保守部品配送を対象に本格導入する。
SCSKは、独自の量子AIアルゴリズムを搭載した、量子回路シミュレーターを開発した。機械学習データ400件に対する演算を5.8ミリ秒で処理し、従来に比べて約1000万倍の高速化を可能にした。
NVIDIAは、古典コンピュータと量子コンピュータ、双方の計算処理をシームレスに統合できるハイブリッドコンピューティングプラットフォーム「NVIDIA Quantum Optimized Device Architecture(QODA)」を発表した。
日本IBMは2022年6月29日、同社が同年5月に公開した量子コンピュータの開発ロードマップに関するオンライン説明会を開催した。ハードウェアだけでなく、ソフトウェアや周辺機器なども併せて開発を進め、量子コンピュータの性能向上を図っていくとした。
Fixstars Amplifyは「日本ものづくりワールド 2022」で、量子コンピュータなどによって組み合わせ最適化問題を解くためのアプリケーション開発サービス「AMPLIFY SDK」を活用した、製造業向けの提案内容などを紹介した。
グルーヴノーツは2022年6月21日、量子コンピュータの半導体産業への応用や人材育成などに向けて、九州大学とMOUを締結したことを発表した。半導体産業が抱える課題解決に量子コンピュータを活用し、半導体製造工程の最適化や次世代CPS(サイバーフィジカルシステム)の開発、導入を目指す。
矢野経済研究所は、量子技術関連の技術、サービス世界市場に関する調査結果を発表した。同市場の2025年の世界市場規模は、3兆4618億円になると予測している。
Quantinuumは、量子計算化学ソフトウェアプラットフォーム「InQuanto」を発表した。計算化学分野において、量子コンピュータの量子アルゴリズムを容易に活用できるようにする。
IBMは、大規模かつ実用的な量子コンピューティングの実現に向け、新たな開発ロードマップを公開した。量子システムの量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するため、個々が接続可能なモジュール式アーキテクチャの開発を計画する。
量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)は2022年5月23日、同日開催のシンポジウムで、「一般社団法人 量子技術による新産業創出協議会」として社団法人化することを発表した。シンポジウムでは、Q-STARの活動報告と今後の取り組みについても説明が行われた。
東芝は2022年4月27日、東芝デジタルソリューションズとBTグループと共に、同月26日から英国のロンドンで、量子暗号通信の商用向けメトロネットワークのトライアルサービスを提供開始したことを発表した。最初の顧客である国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤングは、ロンドン東部のカナリー・ワーフ地区とロンドン・ブリッジ周辺地区間の拠点間接続での利用を予定しているという。
富士通は2022年3月30日、「世界最速レベル」(同社)の量子計算が行える36量子ビットの量子シミュレーターを開発したことを発表した。同社が運用するスーパーコンピュータ「富岳」のプロセッサ「A64FX」の性能を生かしたものとなっている。
昭和電工は、量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料の最適配合探索時間の大幅な短縮化を実証した。従来のAIモデルによる探索と比較して、探索時間を約72万分の1となる数十秒に短縮できた。
グルーヴノーツは2021年1月17日、清水建設と共同で、量子コンピュータをはじめとするICTを用いてダンプトラックによる建設発生土の運搬計画を最適化する実証実験を行ったと発表した。
グリッドは2021年12月23日、量子アルゴリズムに着想を得た機械学習アルゴリズム「量子インスパイア型分類アルゴリズム」を開発したと発表した。量子アルゴリズム研究においては「古典的」とされているアルゴリズムを活用することで、学習をより効率的に行う。
IDC Japanは2021年12月9日、量子コンピュータの市場予測レポートを発表した。量子コンピューティング技術の発展によって、将来的な市場成長が進むとしている。
フィックスターズは、量子コンピューティングクラウドサービス「Fixstars Amplify」のパートナー契約をNTTデータと締結した。イジングマシンを効率的に実行できる点が評価され、パートナー契約に至った。
凸版印刷とシグマアイは、量子コンピューティング技術の1つである量子アニーリングを活用し、物流業務効率化に向けた実証実験を開始した。計画算出時間や配送計画精度の向上など、配送計画における業務負担軽減の効果を検証する。
大日本印刷は2021年10月26日、GPUを搭載したPC上で組み合わせ最適化問題を高速で解決できる「DNPアニーリング・ソフトウェア」を開発したことを発表した。従来手法と比較して10倍の高速化を実現し、また量子計算機を用いるより低コストで問題解決が図れる可能性がある。
矢野経済研究所は、国内量子コンピュータ市場に関する調査結果と将来予測を発表した。市場規模は、2021年度は139億4000万円の見込みで、将来的には2025年度に550億円、2030年度に2940億円に達すると予測する。
東芝、東芝デジタルソリューションズ、BTは共同で、量子暗号通信の商用向けメトロネットワークを構築し、実証実験を開始する。機密性の高い通信を行う顧客企業に対して実証環境を提供し、ネットワークの商業的ニーズ、実現可能性を見極める。
フィックスターズは2021年10月14日、豊田通商と量子コンピューティングクラウド「Fixstars Amplify」のパートナー契約を締結した。両社は量子コンピュータを活用してMaaSの拡充を進める方針だ。
IBMは2021年9月21日、量子コンピュータ関連技術が産業界にもたらす影響などをまとめたレポート「The Quantum Decade」の日本語版を公開した。同社は量子コンピュータのビジネスサービス開発部門「Quantum Industry & Technical Services(QI&TS)」も擁する。
NECは、ベクトル型スーパーコンピュータを活用した、量子インスパイア型のシミュレーテッドアニーリング利用サービス「NEC Vector Annealing サービス」と量子コンピューティングの教育サービスを2021年11月から提供開始する。
日立製作所(以下、日立)が同社の量子コンピューティング技術について説明。古典コンピュータを用いてアニーリング型の量子コンピューティングを行う「CMOSアニーリング」は事業化の段階に入っている。米中で研究開発が進むゲート型についても、シリコン半導体技術をベースとする「シリコン量子ビット」の開発で一定の成果を得ているという。
東芝デジタルソリューションズは2021年8月19日、量子コンピュータ関連技術をテーマとした「東芝オンラインカンファレンス2021 TOSHIBA OPEN SESSIONS」を開催した。本稿では特に、東芝グループが保有する量子暗号通信技術に焦点を当てた講演の内容を抜粋して紹介する。
量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)が2021年9月1日、設立会員24社による総会の承認を得て正式に発足した。Q-STARは今後、4つの部会を中心に産業界が主体となって「量子産業の創出」を目指す方針である。
IDC Japanは、量子コンピューティングの今後の利活用、投資動向に関する調査結果を発表した。量子コンピューティングへの投資は、今後2年間で増加すると予測する。
東京大学とIBMは、日本初導入となるゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」が稼働を開始したと発表。設置場所は「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター」で、東京大学が設立した量子イノベーションイニシアティブ協議会に参加する慶應義塾大学や、日本IBMを含めた企業11社を中心に活用を進めることになる。
東京大学と日本IBMは2021年6月7日、量子コンピュータ技術の研究開発を行うハードウェアのテストセンターとして「The University of Tokyo - IBM Quantum Hardware Test Center≫」を東京大学 浅野キャンパス内(東京都文京区)に開設したことを発表した。
量子技術による社会構造変革を目指す民間企業11社は、業界の垣根を越えて量子技術を応用した新産業の創出を図るための協議会である「量子技術による新産業創出協議会」の設立に向けた発起人会を開催。今後は2021年7〜8月の協議会設立に向けて、より多くの企業の参加を目指して具体的な準備を進めていく方針である。
AWSジャパンが量子コンピューティングサービス「Amazon Braket」や、量子コンピュータの技術動向について説明した。Amazon Braketは「全ての開発者、科学者の手に量子コンピューティングを」というコンセプトのフルマネージドサービスで、AWSの他のサービスと同様の手軽さで利用できるという。
フィックスターズは2021年2月1日、量子アニーリングマシンごとに異なる仕様や制約条件に合わせてアプリケーションコードを開発できるクラウドサービス「Fixstars Amplify」をリリースしたと発表した。メーカーごとに異なるマシンの仕様に合わせて、各マシンに最適化する処理などを自動的に実行する。
グリッドは、量子コンピュータの中でもノイズの影響を受けやすいNISQデバイス上で、実用的な問題を解くのに有効なアルゴリズム「ハイブリッド量子古典動的計画法(QDP)」を開発した。NISQデバイスのノイズの多さを前提とした計算手法であり、開発に成功したのは「世界初」(グリッド)の事例。
富士通は2020年10月13日、理化学研究所など国内外の研究機関と共同で量子コンピュータの実現に向けて開発を開始したと発表した。量子デバイスなどのハードウェアと、アルゴリズム、アプリケーションやアルゴリズムなどソフトウェア両方の領域で共同開発を進めて、量子コンピュータ実用化の障壁となる課題解決を目指す。
次世代のコンピューティング技術として注目を集める「量子コンピュータ」。製造業にとっての量子コンピュータの可能性について、ザイナス イノベーション事業部 部長で量子計算コンサルタントの畔上文昭氏に、製造業での量子コンピューティング技術の活用動向と現実について話を聞いた。