NVIDIAは、古典コンピュータと量子コンピュータ、双方の計算処理をシームレスに統合できるハイブリッドコンピューティングプラットフォーム「NVIDIA Quantum Optimized Device Architecture(QODA)」を発表した。
NVIDIAは2022年7月12日(現地時間)、古典コンピュータと量子コンピュータ、双方の計算処理をシームレスに統合できるハイブリッドコンピューティングプラットフォーム「NVIDIA Quantum Optimized Device Architecture(QODA)」を発表した。
QODAは、NVIDIAが高いシェアを持つGPUを含めた古典コンピュータと、極めて高い計算処理能力を持つものの現時点では発展途上にある量子コンピュータを統合的に運用するためのオープンなプラットフォームである。これにより、医薬品、化学、金融、組み合わせ最適化など量子コンピュータによって一定の成果が得られつつある分野において、汎用的に用いられている古典コンピュータを連携させることで、より早期に実用化に近づけることが可能になる。
古典コンピュータと量子コンピュータは、それぞれで得意とする計算処理が異なることもあり、将来的なコンピュータシステムの構成はハイブリッドシステムになるとみられている。例えば、化学分野であれば、古典コンピュータでは大規模な計算が難しいVQE(Variational Quantum Eigensolver:変分量子固有値ソルバー)というアルゴリズムを量子コンピュータで処理し、その出力結果を用いて古典コンピュータによるパラメータ計算を行ってから、また量子コンピュータ上でVQEで処理するというサイクルを繰り返すのが一般的だ。
QODAは、この古典コンピュータと量子コンピュータのハイブリッドシステムを、古典コンピュータの一般的な知見やアプリケーションで容易に扱えるようにするためのプラットフォームだ。古典コンピュータと量子コンピュータの他、NVIDIAのGPUサーバ「DGX」などを用いて行われている量子コンピュータ回路のシミュレーション環境とも連携させることができる。対応するプログラミング言語はC++とPythonで、GPUコンピューティングに用いられている開発環境「CUDA」ライクに扱えるとしている。
なお、QODAを用いることで、より高い量子ビットを持つ量子コンピュータによるVQEの繰り返しサイクルの速度を大幅に向上できた。4量子ビットの量子コンピュータを用いる場合と比べると、8量子ビットで7倍、12量子ビットで39倍、16量子ビットで155倍、20量子ビットで287倍になったという。
QODAと連携可能な量子コンピュータとしては、IQM Quantum Computers、Pasqal、Quantinuum、Quantum Brilliance、Xanaduの名前が挙がっている。これらの他のエコシステムパートナーは、量子アルゴリズムでQC WareとZapata Computing、スーパーコンピュータ施設でドイツのユーリヒ総合研究機構、米国のローレンスバークレー国立研究所とオークリッジ国立研究所となっている。
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