ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は完全失業率の国際比較を見ていきます。
今回は、仕事をしたいのに仕事に就けない人の割合である完全失業率についての国際比較をご紹介します。
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日本は失業率の低い国としても知られていますが、国際的にどのような立ち位置なのか、統計データで確認してみましょう。参照するのはOECDの統計データ(OECD Data Explorer)です。
OECDでは共通した区分によって、失業率についてのデータを集計しています。
労働力人口のうち、仕事ができる準備ができていて、仕事を探しているけれども、仕事の無い人が完全失業者として集計されます。この区分は、前回ご紹介した日本の労働力調査と基本的に同じ定義となっています。完全失業率は次のように計算されます。
男性の現役世代(18〜65歳)での失業率について、国際比較してみましょう。
まずは主要先進国の時系列な推移から見てみたいと思います。
図1はOECDが公開している主要先進国の現役世代男性についての完全失業率をグラフ化したものです。日本(青)はアップダウンがあるものの、相対的に低い水準で推移していることが分かります。
他国はかなりアップダウンが激しく、そのタイミングや振れ幅もまちまちですが、ある程度連動しているようにも見受けられます。
2020年、2021年の米国とカナダの急激な高まりが特徴的ですね。コロナ禍による影響と考えられますが、それ以外の国では若干高まったものの、そこまで急激な変化ではありません。各国の雇用政策の違いなどが出ているのかもしれませんね。
日本は総じて失業率が低い傾向ではありますが、近年では韓国やドイツと同程度と言えそうです。
続いて男性労働者の失業率について、OECD各国の国際比較をしてみましょう。
図2がOECD各国の2023年の現役世代男性の完全失業率を並べたグラフです。スペインやチリ、ギリシャに加えて、主要先進国ではフランス(7.5%)とイタリア(7.0%)の完全失業率が高くなっています。
OECDの完全失業率の平均値は5.4%です。このため、フランス、イタリア、カナダは先進国の中でも失業率が高いと言えそうです。イギリス、アメリカが4%前後、ドイツが3.3%で、日本の2.9%は先進国の中でもかなり低い方に位置します。
とはいえ、中位の英国、米国と日本では1ポイント程度しか変わらないことになります。
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