パナソニックグループは「Panasonic Group IR Day 2025」を開催し、同グループが注力する「ソリューション領域」で成果を残している3つの事業の戦略について説明した。後編では、後編では、建物ライフタイムバリュー向上ソリューションを展開するパナソニック エレクトリックワークス社と、SCMソフトウェアを展開するパナソニック コネクトの戦略について説明する。
パナソニックグループは2025年12月2日、「Panasonic Group IR Day 2025」を開催し、同グループが注力する「ソリューション領域」で成果を残している3つの事業の戦略について説明した。前編ではソリューション領域の強化についての方向性と、その1つとしてパナソニック エナジーが注力するAIデータセンター向け蓄電システムへの取り組みについて紹介した。
後編では、SCMソフトウェアを展開するパナソニック コネクトと、建物ライフタイムバリュー向上ソリューションを展開するパナソニック エレクトリックワークス社の戦略について説明する。
パナソニック コネクトがソリューション事業の核として位置付けているのが、買収したBlue Yonder(ブルーヨンダー)を中心としたSCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトウェアだ。パナソニック コネクトが2021年に買収したブルーヨンダーでは、2023年〜2025年の3年間で2億米ドルの投資を受け、次世代プラットフォーム構築を進めているところだ。
パナソニック コネクト プレジデント・CEOの樋口泰行氏はSCMソフトウェア事業に力を入れる理由として「SCMは経営の根幹で成長領域でありながら、標準パッケージの使用比率やクラウド比率が低く、シェアを獲得できるチャンスがある。また、パナソニック コネクトとして注力してきた現場プロセス革新の上位レイヤーに位置し、複合的な価値拡大が見込める」と語る。
ブルーヨンダーの強みは、SCMにおける幅広いソリューション群を保有し、顧客や産業カバレッジが広いということだ。ブルーヨンダーに加えて関連ソリューションの買収を進めたことで、仕入先管理、計画系、倉庫管理、輸送管理、返品管理、納品先管理までサプライチェーンに関わる多くの領域をカバーしている。さらにこれらにAI(人工知能)を取り入れることで、情報やデータの意味付けを理解するコグニティブソリューションとして展開できるようになった。
樋口氏は「これらのコグニティブソリューションを実現するためには、クラウドネイティブでマイクロサービスアーキテクチャを備えた統合プラットフォームが必須となる。これらを実現するために、新たなプラットフォーム開発を一から行ったことで、大きな投資やその開発期間が必要になった。当初は2億米ドルとしていたが結果的に、開発期間は約1年伸び、投資も3億米ドルまで膨らんだ。ただ、ようやく全ソリューションの基盤となるプラットフォームの主要機能の開発が完了し、2026年度には全て終わるめどがたった」と現状について語っている。
これにより、戦略投資は2025年度をピークとし、調整後営業利益は大幅な改善が見込める状況となった。「大きな投資は2025年度が最後となる。2026年度以降は販売に力を入れる。さらなる投資がかさむリスクは小さいといえる」(樋口氏)。
2026年度以降は、売り上げについても本格的に拡大が見込めるという。「パイプライン(見込み客から受注までのプロセス)も感触のある形になりつつある」と樋口氏は自信を見せる。また、パナソニックグループ内での導入実績なども次々に成果を生み出しつつあるという。
ブルーヨンダー買収から成果までに時間がかかっていることについて、パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏は「買収当初は、既存のシステムのリライト(新規プラットフォームの開発)が必要だというのは見抜けなかった。そこが期待とのギャップにつながっている。ただ、ようやく新たなスタートを切れる体制になってきた」と語っている。
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