パナソニック エレクトリックワークス社は、照明や電設資材(電材)などを扱い、国内では4工場、76営業所、34の関係会社を持ち、海外では関連会社16社で101の国や地域に製品を展開している。売上高は2024年度で1兆715億円となっている。照明や電設資材では国内外で高いシェアを持ち、そのポジションを持続的に高めている。
今後、さらに成長を持続するために取り組むのが、海外電材事業の売上高の拡大と国内の収益力強化だ。海外電材事業では、特にインド市場の強化に取り組む。「インドでは人口増加により電材需要が急増しており、2022年度に1.8兆円の市場規模だったのが、2030年度には3.6兆円に成長すると予測されている。その中でパナソニック エレクトリックワークス社としても2030年度には売上高2倍となる2000億円を目指す」とパナソニック エレクトリックワークス社 社長の大瀧清氏は語っている。
具体的には、M&Aを通じた販路や商材の獲得、川上(大規模プロジェクトの計画段階)への件名提案強化や地方主要デベロッパーへの関係強化に取り組む。さらに、配線器具のシェアが高いことを生かし、クロスセルの強化や、ライティングの提案強化などを進めていく。
一方で、国内については、市場そのものの大きな成長が期待できないことから、収益力強化を進めていく。その重要なカギを握るのがソリューション販売だ。ソリューション販売は、製品単体ではなく組み合わせによりウェルビーイングやエネルギーマネジメントなどの付加価値を提案して販売するものだ。エンジニアリング、保守/メンテナンスサービスなども組み合わせる。ソリューション販売の中でもパナソニック エレクトリックワークス社が現在期待しているのが「建物ライフタイムバリュー」での提案だ。
建物ライフタイムバリューは、建物が生涯(ライフタイム)を通じて生み出す価値の総額であり、この観点を基に、建物のライフタイムにおけるステージごとに最適な価値創出が行える提案を行うものだ。「建物の完成前には、ウェルビーイングやカーボンニュートラルの観点で、電力使用量の見える化やオフィス環境の空間データの見える化などのソリューションを合わせて提案していったり、建物の完成後は遠隔予防保全やエネルギーマネジメントシステム、集客や稼働率アップのソリューションを提案し、建物としての価値向上や建物管理の効率化を進めていく」と大瀧氏は述べている。
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