パナソニックHDは、2025年3月期(2024年度)の連結業績を発表するとともに、グループ経営改革の進捗状況について説明した。事業撤退や縮小、拠点の統廃合なども含め、グローバルで1万人の人員削減を行い、2026年度までに1500億円の構造改革効果を実現する。
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2025年5月9日、2025年3月期(2024年度)の連結業績を発表するとともに、グループ経営改革の進捗状況について説明した。事業撤退や縮小、拠点の統廃合なども含め、グローバルで1万人の人員削減を行い、2026年度までに1500億円の構造改革効果を実現する方針だ。
パナソニックHDの2024年度連結業績は、売上高が前年度比同等の8兆4582億円、調整後営業利益が同20%増の4672億円、営業利益が同18%増の4265億円、税引き前利益が同14%増の4863億円、当期純利益が同18%減の3662億円となった。
パナソニックHDでは、2024年12月からパナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)が株式譲渡で持ち分法適用会社となり連結対象から除外されているが、同分野を抜いた業績では、売上高が同5%増の7兆7850億円、調整後営業利益が同26%増の4427億円、営業利益が同23%増の3964億円となり、増収増益の結果となった。
セグメント別で見ると、くらし事業は、電材が日本やインドで増販となった他、空質空調が日本やアジアを中心に、ルームエアコンと環境エンジニアリングデバイスが伸長した。また、2024年度上期のマイナスが大きかった中国の家電分野と欧州のA2W(Air to Water)は下期は改善したという。年間でも増益となった。
コネクト分野は、AIサーバや中国(EV、ICT)の需要を捉えたプロセスオートメーションをはじめ、現場ソリューション、アビオニクス、ブルーヨンダー、モバイルソリューションズで売り上げを伸ばし、それにより増益となった。
インダストリー分野は、欧州を中心とした市況低迷による車載、産業リレーなどの減販があったが、生成AIサーバなどの情報通信関連製品(コンデンサー、多層基板材料)の増販で伸長した。原材料高騰などの影響はあったが合理化や価格改定などにより増益も達成した。
エナジー分野は、車載電池が、北米工場の数量拡大があったものの、国内工場の需要減や原材料価格低下見合いの価格改定により減収となった。また、米国IRA補助金の追加計上や、品質対応費用の改善があるものの、米国カンザス新工場や、和歌山工場の立ち上げ費用が増加したことで減益となっている。産業/民生電池は、生成AI市場の成長を背景に、データセンター向け蓄電システムの大幅伸長があり、増収増益となった。
パナソニックHD 執行役員でグループCFOの和仁古明氏は「2024年度実績は、売上高、利益ともに2025年2月の公表値を上回った。売上高ではくらし事業、コネクト分野、インダストリー分野の増販で増収となった。営業利益もオートモーティブ分野以外は全てのセグメントで増益となった」と手応えについて述べている。
パナソニックHDの2024年度単年の業績だけを見るとそれほど悪い数値ではなかったが、同社では2024年度を最終年度とする中期目標として累積営業キャッシュフロー(2022~2024年度)2兆円、ROE(自己資本利益率)10%以上、累積営業利益(2022~2024年度)1.5兆円という目標を掲げていた。これらの中期目標は、累積営業キャッシュフロー以外の項目の未達に終わった。
パナソニックHDでは、これら結果が見えた2025年2月の時点で、先行して2025年度からグループ経営改革に乗り出す計画を示し、ソリューション領域への注力や2030年度までに3000億円以上の収益改善を進める方針を示していたが、今回はその具体的な進捗内容として、人員削減計画などを示した。
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