パナソニック ホールディングスはCES 2026の出展概要を発表した。従来の家電中心からAIインフラや環境技術などB2B領域への戦略シフトを鮮明にし、生成AIを支えるデータセンター設備や半導体製造装置などを披露する。
パナソニック ホールディングスは2025年12月15日、同社西門真地区拠点(大阪府門真市)とオンラインで会見を開き、世界最大級の技術展示会「CES 2026」(2026年1月6〜9日、米国ラスベガス)の出展概要を説明するとともに今後の技術戦略を明らかにした。
今回の展示テーマは「The Future We Make」としている。パナソニック ホールディングス 執行役員グループCTOの小川立夫氏は「今さらCESでテレビを売っている場合ではない」と語り、従来のB2Cの家電中心の展示から、AI(人工知能)時代のインフラを支える「製造現場の技術」や「プロセスの革新」など、B2Bソリューションに焦点を当てた展示を行うことを強調した。
展示の中核となるのが、急拡大する生成AI需要に対応した「AIインフラ向けソリューション」だ。生成AIの普及に伴い、データセンターでは消費電力や発熱量の増大という課題が発生している。同社はこれに対応するために、データセンターそのものの稼働を支える「インフラ設備」と、そこで稼働する次世代チップを生み出す「製造技術」の両輪を推し進める。
インフラ設備領域においては、蓄電システム、冷却技術、基幹デバイスなどを包括的に統合したパッケージソリューションを展開する。
蓄電システムは停電時のバックアップ機能に加え、電力消費のピーク時に不足分を補うピークシェーブ機能を搭載し、エネルギー運用の平準化を実現。サーバの発熱対策としては、冷蔵庫で培ったコンプレッサー技術を応用した冷却システムや、CDU(冷却水分配装置)向けの高性能ポンプを提供する。そして、サーバ内部の安定動作を支えるデバイスとして、高負荷環境に耐える導電性高分子アルミ電解コンデンサ(SP-Cap)や、高速通信に対応する多層基板材料(MEGTRON)を提案する。
家電事業などで培った独自のコア技術を武器に、建屋設備から基板までをトータルで支援するパッケージ展開を進め、米国をはじめとするグローバル市場での事業拡大を加速させる考えだ。
一方、データセンターの性能を左右するAI半導体分野では、製造装置ソリューションを強化する。同社が焦点を合わせるのは、ウエハー処理(前工程)とパッケージング(後工程)の間をつなぐ「中工程」領域だ。
具体的には、チップ同士を極めて短い配線で接合し、電力ロスを削減するためのプラズマクリーナーやボンディング装置などを展開。長年エレクトロニクスメーカーとして培ってきた実装技術のノウハウを応用し、微細化/高集積化が進むAI半導体の量産プロセスを支える構えだ。
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