生産現場の品質管理に使われる「X-R管理図」「P管理図」は、実際にはどうやって作ればいい? サンプルを基に手を動かして覚えよう。
本稿では、前回の「『安定した工程』を作るには? ゼロから学ぶ『管理図』の使い方」で紹介した管理図の具体的な作成方法を、サンプルを基に紹介していきます。【訂正あり】
「X-R管理図(X-R Chart)」は、工程の状態について最も多くの情報が得られる管理図で、例えば寸法、硬度、感度、時間、温度、抵抗、電流、抗張力などの品質特性を計量値で管理する場合に多く用いられます。X管理図は、分布の平均値の変動によって製造工程を管理し、R管理図は、ばらつきの変動によって製造工程を管理するためのものです。通常、この2つの管理図は、X-R管理図として一緒に用いられます。
なお、X-R管理図の「X」は本来は「xバー」といいます。本稿では表記上の都合により、これを「X」と表記しています。従って、Xは、抜き取ったサンプル(試料)n個のデータ(xi)の平均値(Σxi/n)を表しています。
また、「P管理図(P Chart)」は、不良率管理図(Defective Unit Chart)ともいわれ、不良個数(Pn)を検査個数(n)で除した不良率(P=ΣPn/n)を管理する場合に用いられます。
具体的に解析用管理図(工程解析段階であり、標準値が決まっていない管理図)の作成をここでは考えることにします。以下にデータの事例として、コンプレッサー起動電圧のデータを用いて、製造工程の管理限界線を求める手順について説明します。
予備データとして4〜5個づつのサンプル(試料)を約20〜25組とり測定します。データの記入に際しては、定形書式のX-R管理図用のデータシートを事前に用意しておくと測定値の記入が早くて便利です。また、この書式には、測定する製品の品名、管理項目、試料のとり方、測定方法などを付記しておくと、測定時の誤りを防止できます。以下、サンプルの大きさをn、サンプルの数をkという記号で表します。
下記の「表1 X-R管理図データ(事例データ)」は、コンプレッサーを毎日5台づつ抜取り、その起動電圧を測定した結果です。この結果を予備データとして、X-R管理図を作成します。データや規格値などの内容は、以下の通りとします。
品名 | コンブレッサーAF-386 | 測定単位 | ボルト(V) |
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品質特性 | 起動電圧 | 工程 | 空気試験 |
規格値 | 81V 以下 | 抜取方法 | 5台/日 |
測定法 | 除昇法 | 測定者 | 佐藤 |
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