量子セキュアクラウドシステムによる高度設計情報の高秘匿伝送試験に成功量子コンピュータ

NECは、量子暗号技術と秘密分散技術を融合した量子セキュアクラウドシステムを活用し、設計情報の最適化の処理、高秘匿伝送、分散保管に成功した。専用回線を敷設せずに、ユーザー環境でも量子セキュアクラウドシステムを動作できた。

» 2022年10月17日 10時00分 公開
[MONOist]

 NECは2022年10月4日、量子暗号技術と秘密分散技術を融合した量子セキュアクラウドシステムを活用し、設計情報の最適化の処理、高秘匿伝送、分散保管に成功したと発表した。情報通信研究機構(NICT)、京都大学、慶應義塾大学と共同で実施した検証試験の成果となる。

 今回の検証試験では、量子計算技術を利用した次世代アクセラレーターで最適化したフォトニック結晶レーザーの高度設計情報を、インターネット回線を通じて、拠点間で安全に伝送できることを確認した。

キャプション 検証試験のシステム構成図[クリックで拡大] 出所:NEC

 まず、NECの回線暗号装置「COMCIPHER-Q」をNICT、京都大学、慶應義塾大学の3拠点に設置し、インターネット回線上に、量子鍵配送装置で生成した暗号鍵を用いて仮想的な暗号回線を構築。異なる組織の3拠点間で、安全にデータを伝送できた。

 また、伝送と同時に、NICTが運用する量子鍵配送(QKD)ネットワークのテストベッド「Tokyo QKD Network」上に形成した秘密分散システムへ接続し、秘密分散保管を実施した。

 検証により、専用回線を敷設せずに、ユーザー環境でも量子セキュアクラウドシステムを動作できることが分かった。今回の成果から、各製造分野での適用可能性が示唆された。

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