三菱電機の2024年度業績は過去最高、トランプ関税は最大700億円強の損失見込む製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

三菱電機の2025年3月期連結決算は、売上高、営業利益、当期純利益など主要項目で過去最高を更新する好結果となった。

» 2025年04月30日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 三菱電機は2025年4月28日、2025年3月期(2024年度)の連結決算を発表した。売上高、営業利益、当期純利益など主要項目で過去最高を更新する好結果となった。

2024年度は過去最高の業績に

 三菱電機の2024年度の売上高は前年度比5%増の5兆5217億円、営業利益は同19%増の3918億円、当期純利益は同14%増の3240億円となり、いずれも過去最高を更新した。三菱電機 代表執行役 執行役社長 CEOの漆間啓氏は「FAシステム分野での回復遅れはあったものの、インフラ分野、ライフ分野の成長や、セミコンダクターデバイス分野の改善により売上高、営業利益などで過去最高を更新できた」と手応えについて語っている。

photo 三菱電機の2024年度連結決算概要[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 売上高、営業利益ともに大きく伸ばしたインフラ分野では、社会システム分野で海外向けUPS(無停電電源装置)などの成長があった他、電力システム分野でのデータセンター向けでの需要伸長があった。ただ、最も大きく成長したのは防衛・宇宙システム分野だという。三菱電機 常務執行役 CFOの藤本健一郎氏は「政府関連予算の増加により防衛、宇通分野の需要が大きく伸びた。案件価格も改善し、それらが業績に大きくプラスに働いた」と説明する。

photo 三菱電機 代表執行役 執行役社長 CEOの漆間啓氏

 不調が続くインダストリー・モビリティ分野については、減収減益となり引き続き厳しい状況が続いている。FAシステム分野は、中国のスマートフォン、工作機械関連の需要や、日本、中国、台湾におけるAI関連半導体の設備投資需要が増加したものの、リチウムイオンバッテリーの需要停滞の影響を受けた。漆間氏は「2025年度は事業構造改革を進めて早期回復を狙う」との考えを示している。自動車機器分野は、中国における日系自動車メーカーの販売減少に伴う自動車用電装品の減少で売上高は前年を割った。こちらについても「ポートフォリオ改革に取り組んでいく」(漆間氏)としている。

photophoto インフラ分野の実績(左)とインダストリー・モビリティ分野の実績(右)[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 家電や空調設備、ビルシステムなどを対象とするライフ分野では、リニューアル需要や円安効果があり増収増益となった。また、ビジネスプラットフォームはデジタルトランスフォーメーション(DX)で堅調に推移し、増収増益となった。セミコンダクターデバイス分野は、パワー半導体の需要が停滞したものの、通信用光デバイスの需要が堅調に推移し、増収増益となった。パワー半導体ではEV需要の低迷から市場も停滞が予想されているが、三菱電機では2025年11月に熊本県で新たなSiCパワー半導体工場を稼働する計画だ。「一般的にはEV関係需要停滞でSiCパワー半導体は先送りが指摘されているが、当社の顧客からは強い引き合いがあり、工場を予定通り立ち上げる」と藤本氏は述べている。

photophoto ライフ分野の実績(左)とビジネスプラットフォーム/セミコンダクターデバイス分野の実績(右)[クリックで拡大] 出所:三菱電機
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