米国トランプ政権による関税の影響については「2025年度は300億円の損失見込みで織り込んでいる。基本的には関税分の価格転嫁をしながら、適地生産を進めていく」と漆間氏は語る。
300億円の損失見込み分の内訳は、空調・家電分野が130億円、電力システム分野が80億円、社会システム分野が40億円、FAシステム分野が20億円、自動車機器分野が10億円、ビルシステム分野が10億円という構成になる。この他、2025年5月3日に開始が予定されている自動車部品への追加関税がもしそのまま適用されると、追加で70億円のマイナス影響があるという。
さらに、現在執行停止中の相互関税が適用されると400億円前後のマイナス影響があるとし、最大で700億円強の損失方向での影響が出ると予測する。ただ、藤本氏は「こうした影響があるとしても、三菱電機の姿勢として、基本的には価格転嫁をするという方針だ。既に顧客との交渉は進めている」と基本方針について説明する。
漆間氏も「地域別で見ると米国は6000億円強の売上高となっており、その中での影響を見極めながら対策を考えていく。関税影響についても全体で見ると1%程度であり、それも基本的には値上げで対処する方針だ。サプライチェーンについても見直しを考えるが、必ずしも米国で生産すればよいというわけではない。出て行っても周辺環境が整わなければ製造はできない。まだ予測がつかないことも多いが、総合的に見て判断する」と考えを述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.