ローランド・ベルガーは、「アジアのサプライチェーン再構築の要諦(ようてい)とは」をテーマに記者説明会を開催し、グローバルやアジア各国のサプライチェーンの最新動向に触れながら、日本企業にとってのポイントを解説した。
経営コンサルティングファームのローランド・ベルガーは2025年12月16日、「アジアのサプライチェーン再構築の要諦(ようてい)とは」をテーマに記者説明会を開催し、グローバルやアジア各国のサプライチェーンの最新動向に触れながら、日本企業にとってのポイントを解説した。
産業革命以降、世界のサプライチェーンはグローバル化が進んできた。しかし、最近はそこに逆行し「ローカル化の動きが進んでいる」とローランド・ベルガー パートナーでサプライチェーン/ロジスティクス担当の小野塚征志氏は指摘する。
「グローバル化の進展に伴い地域ごとの役割分担が進み、世界的に貿易額は成長を続けてきた。しかし直近ではその伸びが鈍化し、踊り場を迎えている。分かりやすいのが米国だ。トランプ政権は、米国内に製造業を戻す動きを加速しており、各地域に閉じこもる動きが強まっている。ローカル化がグローバルサプライチェーンのトレンドになっている」(小野塚氏)
その中で、アジアのサプライチェーンについても再構築への動きが進んでいる。アジアのサプライチェーンの特徴として「グローバルな階層構造」「多極的なリーダーシップ」「政治的対立による経済的分断」があると、小野塚氏は説明する。
「グローバルな階層構造」については、サプライチェーンにおいて欧米や韓国、日本は、R&Dやハイエンド製品の製造で力を発揮し、中国や東南アジアは低〜中層の生産拠点として機能していた状況を示す。「中国でハイエンド製品の製造を行うケースも増えてきているが、基本的には役割分担が進んでいる」(小野塚氏)。
「多極的なリーダーシップ」とは、日本、韓国、台湾などが同様の製品分野を強みとし、突出した事業者が生まれにくく、資源分散と域内競争が続いている状態を指す。
「政治的対立による経済的分断」は、日本、韓国、中国などの関係が、政治的対立によってすぐに分断されるような不安定な関係性であることを示している。「政治的な対立関係が経済面で大きなマイナスとなっている」と小野塚氏は指摘する。
これに対し、将来的には、アジア各国が協調し、各国のポジショニングを明らかにしつつ機能分担を進め、アジア地域全体での競争力強化を進めていくべきだと小野塚氏は訴える。「例えば、日中韓でもある製品は日本に集約、ある製品は中国に集約というように、機能分担を行うことができれば、アジア域内で無駄に競い合うことなく、世界と戦える企業などを生むこともできる」(小野塚氏)。
現在の日中関係などを見ると、中国を含めた域内の機能分担は難しいようにも見えるが、小野塚氏は「やり方はある」と説明する。
「2つの観点が考えられる。1つは機能分担は進めていくが1つの国に集中させることなく、複数化を進めるということだ。特定の国に依存すると、その国の思惑に左右されるリスクがある。一方で、複数ルートで調達できれば、こうしたリスクは低減できる。もう1つが、戦略的自立性を高めていくということだ。日本でしか作れないものや調達できないものがあれば、ある国が理不尽な要求をしてきたときに、提供を止めるカードを示すことで交渉を優位に進めることができるようになる。これらを組み合わせることで、機能分担も進めていける」(小野塚氏)
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