バンコク日本人商工会議所が発表した2013年上期の「タイ国日系企業景気動向調査」によると、タイから周辺国に生産拠点を分散・補完する「タイプラスワン」拠点を設立する動きが、拡大しているという。
盤谷日本人商工会議所(バンコク日本人商工会議所、以下JCC)は2013年7月30日、タイに進出した日系企業に対し景況感などを聞いた「2013年上期タイ国日系企業景気動向調査」の結果を発表した。回答企業数は384社でそのうち234社が製造業。調査結果によると、タイ景気は成長鈍化傾向である他、「タイプラスワン」として周辺国に拠点を設立する動きが活発化していることが明らかとなった(関連記事:チャイナプラスワンだけじゃない! 「タイプラスワン戦略」をご存じですか?)。
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JCCの調査によると、2012年下期(7〜12月)の業況については、「上向いた」とした回答は60%となり、前期の76%に比べ16ポイント減少した。また「悪化した」とした回答は19%で、前期の14%に比べて5%増加。この結果、「上向いた」から「悪化した」を引いた景気指数動向(以下、DI)は、前期に比べ21ポイント減少し、プラスではあるものの、改善幅を縮める結果となった。
また、2013年上期(1〜6月)については、業況が「上向いている」との回答が46%となり、「悪化している」が29%で、DIは2012年下期に比べ24ポイントも減少した。さらに2013年下期の見通しは「上向く」が41%、「悪化する」が22%で、DIは2ポイント上昇する結果となった。
これは、2011年の洪水からの復興需要で、2012年上期が大幅な成長を見せた一方で、復興特需が徐々に落ち着きを見せてきたことによる。実際に「設備投資内容」として「洪水」を挙げた企業は2013年では5%となり、2012年の18%と比べても大きく減少している。
ちなみに2013年の製造業における設備投資予定額は2012年に比べ6.9%減少する見込み。「投資増」とした企業は41%、「投資減」とした企業は33%となっている。
現在タイでは、タイ国内だけでなくさらに周辺国に生産拠点などを拡大しつつ、分散・補完する動きが目立ってきている(関連記事:チャイナプラスワンだけじゃない! 「タイプラスワン戦略」をご存じですか?)が、タイ以外の拠点について「既に設立済み」と回答した企業が34%となった。また「検討中」とした企業は24%、「検討していない」とした企業は42%となった。
また、拠点を既に設立、もしくは設立を検討している国については「インドネシア」が59%を占め1位となった。次いで「ベトナム」(39%)、「ミャンマー」(30%)が上位を占める結果となっている。
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