実際に形状を作る「Construct(モデリング)」の機能についてはどうでしょうか。
上のメニューを見て分かるように、「Extrude(押し出し)」「Sweep(スイープ)」「Rotate(回転)」「Loft(ロフト)」がシンプルに並べられています。言うまでもなく、3次元CADで形状を作るための中心的な機能のみをシンプルに並べているので分かりやすいのですが、若干機能が簡略されています。例えば、Extrudeでは123Dβまで、方向指定や、「左右対称にするかしないか」「どこまで押し出すのか」と幾つかのオプションがありましたが、123D Designではそれがなくなりました。
形状を修正する機能については以下のように別メニューになりました。
左から「面を押す/引く」「面に角度を付ける」「面の分割」「フィレット」「面取り」「ソリッドの分割」「シェル」となっています。このあたりについては、それほど大きな変更はないようです。ただしシェルに関しては、抜くのが一面のみになりました。
「パターン」については、123D Designと123Dβで、特に大きな違いはないように思います。「縦横に並べ、直線状にコピーする」「軸まわりにコピーする」「あるパスに沿ってコピーする」「鏡像コピー」があります。
「ブーリアン(Boolean:集合演算)」は「Combine(組み合わせる)」という名称です。シンプルに“コマンド1つ”ですが、サブメニューで「足し算」「引き算」「共通部分」の3つが用意されています。
「スナップ(Snap:位置合わせ)」は複数のオブジェクトを位置合わせする機能です。ただ、注意しなくてはいけないのは、普通の3次元CADでいうアセンブリとは異なり、位置は合わせられても、拘束条件が付くわけではありません。せっかく位置を合わせても、どちらか片方を動かせば位置関係は変わってしまいます。ただし、グループ化されていれば一体として動きます。また、別のスナップ条件を付ければ、先のスナップ条件は外れます。
先ほどのムービーでもお見せしたように、123D Designではプリミティブを多用します。プリミティブは以下の形状が用意されています。
123Dβでは、スケッチや作業平面、ソリッドなどを表示するフィーチャツリーがありましたが、これもなくなりました。なお、スケッチを非表示にする場合には、左のメニューで非表示にできます。
そうそう……「なくなった」といえば……、作業平面作成のオプションもなくなりました。
STLの出力は123Dβのようにローカル側ではなく、サーバ側のプログラムで処理するようになりました。なので、ファイルは123Dのユーザーアカウントにログインしてアップロードする必要があります。ログインすると、以下のようなWebページ(ユーザー専用ページ)が出てきます。
ここで、先ほど保存した「Cube1」をクリックすると、さらに次のページへ行きます。
そこでは、STLファイルのダウンロードの準備ができています。これをクリックしてSTLファイルをローカルに保存します。
ちなみに今回も、エラーなくきちんとしたものができたようです。
なお、123D Designのメニューに「Send→3D Printer」という機能がありますが、これはSTLを途中で出力するためのものではありません。「Shapeways」など123Dと提携している3次元プリントオンデマンドサービスに直接依頼を出す機能なのです。これらのサービスを利用する人以外には関係ありませんね。
ところで123Dシリーズの模型製作支援ツール「Autodesk 123D Make」の中に、面白いサービスがありました。まだきちんと試していないのですが……、CNCパスを出力する機能がサーバ側にあるようなのです(関連記事:「なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか」)。。今後このような、さまざまなパーソナルな加工機械を使うためのオプションを増やしていくのかもしれません。
今回のリリースで、「とにかく多くの人に3次元CADを触ってもらおう」というポジションをはっきり示したのではないかと私は理解しました。
これに対してはさまざまな意見があるのではないかと思います。私の周囲にいるような、普段から仕事で3次元CADを使うような人は、むしろ以前の123Dβを好むかもしれません。やはりそちらの方が機能も豊富で、いわゆる“CADっぽい”からです。設計でもちょっとした修正に使えます。その方向での進化を期待していたら、“ちょっとずっこけてしまった”かもしれません。123D Designは、本当の初心者が、とにかくCADを始めたいということなら、楽しめるツールなのではないでしょうか。
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