3次元スキャナでぱぱっとデータを取り込んで、即、3次元出力! ……とはいかず、実はデータ修正に手間が掛かっているわけです……。
実はちょっと「コミPo!」にハマりつつあります。ご存じない方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、「絵心はないがマンガを描きたい」「“マンガで説明する、何々”みたいな資料を作りたい」というときには最適なツールです。要するに「マンガ的表現」をするためのハードルを思いっきり下げた(誰でも簡単に漫画が制作できる)ソフトウェアというわけです。
そしてなんと、このツールはユーザーデータとして自分の3次元キャラやアイテムを取り込めます。以前、この連載でもふれたメタセコ(Metasequoia)で自分が作成したデータが使えます。このツールについては、この連載でもおいおいカバーしたいと思っていますが、まずは練習として、今回のお題提示に使ってみることにしました(以下)。
というわけで、今回のお題は「3次元スキャナ」です。
第10回の記事の最後の方で、女性タレントさんの3次元スキャンを紹介したから、というわけではありませんが……、何だか急に、いろいろなものをスキャンしたくなってきました。
3D-GANには、3次元スキャナが2台ほど鎮座しています。「PICZA LPX-60」(Roland DG)と「NextEngine HD Pro」(NextEngine)です。彼らはしばらく前から3D-GANにいるのですが、今まで、私自身とは縁がないままでした。というのも……。そもそも、これまでに「何か3次元スキャンしよう」というモチベーション自体が私になかったからなのですが。機械的なモノなら自分でモデリングすればよいし、フィギュアなどのキャラクター関係には私の仕事でかかわらないし。
……と言いつつも、「1度使ってみれば、何か良い使い道を思いつくかもしれない」と考えてみたわけなのでした。
ちなみに今回の技術指導は、以前にも登場していただいた、あのツクルスの“ダムダムボーイ”さん(仮名)です。
*本記事の以降では、「スキャナ」および「スキャン」は、3D(3次元)であるとします。
「スキャナの課題」っていえば、「“スキャナそのもの”の課題」みたいに思われちゃいそうですが、ここではあくまで「自分にとっての意味」とします。
スキャナはもともと、「製造した物の精度を調べる」といった測定用途で使われていました。しかし今は、「スキャンして、そこからリアルな物を作る」、つまり「ある立体物のコピーを期待する」ニーズに注目が集まっているように思います。
実際、3D-GANにアポなしで飛び込んでくる皆さんの中には、まず3次元プリンタなるものに“大いなる夢”を抱いている方がいます。でも「3次元データが作れないと駄目」ということで、1度、その夢と希望を打ち砕かれることになります。
さらには、どこで情報を見たのか、「3次元データが作れなくても、3次元スキャナを使えば良いのでは!」と考えていたり。
でも結局は、“3次元データを扱える人”にとってスキャンは意味があるけれど、“3次元データを扱えない人”にとってはそれに意味がない、ということを知り、さらに肩を落とすことになります。なぜかといえば、スキャンしたデータを3次元プリンタで出力するためには、結局、自分で一生懸命修正しきゃいけないからです……。
3次元データのことをよく知らない人は、「スキャナ」と聞けば、どうしても、一般的なスキャナ(紙が対象のもの)のような感覚でとらえてしまうみたいです。
「あ〜、やっぱり3D(3次元データ)へのハードルって高いのね……」
しかし、いくら手間がかかっても、妖精眼鏡の記事で説明したような、中々魅力的なARのデータも作れたりするわけですから、やっぱり目的意識が大事ってことなのかもしれません。
さてそれでは、ここでスキャンをしてみましょう。今回、スキャンされるお友だちは、こちらですよ(図1)。
ご存じの方はご存じかもしれませんが、STLの修正に使用するソフト「MoNoGon」(カタッチ)のキャラクターです。
そして、今回主にフィーチャーするのが、先ほど名前が出たNextEngineです。こちら、標準セットで49万8000万円。
図2のように、後ろの箱がスキャナ本体で、手間の物が、スキャン対象を配置する台です。
スキャン台と本体は、USBケーブルでつながれていますが、このケーブルで距離を調節することが可能です。大きめのものならケーブルを長くして遠めに配置し、小さなものを近くに寄せて撮るには、ケーブルを短くします(図3)。
本体のカメラ自体は、図4のように、この台よりももっと遠くのものを写していますが(私も映っていたりします)、焦点があってスキャンをできるのがちょうどこの台のあたり、というわけですね。
ちなみに図4のUI(ユーザーインタフェース)は、NextEngineに標準で付いてくるソフトウェア「ScanStudio HD」の画面です。
このソフトで、スキャンからちょっとしたデータの修正まで可能です。しかし、実際にはデータの修正は後述するオプションツール「RapidWorks」(スキャンデータ処理ソフト)を使わないと十分な修正は難しいみたいです。
ちなみに、MoNoGonのキャラクターの尻尾のあたりに見える緑色の物は粘土です。座りの悪い物は、このような形で固定するといいようです。
スキャンが始まると、必要に応じてこの台がぐるぐると回ります。
ちなみに、NextEngineには「マルチドライブ」というものがあります(図5)。こちらは15万円のオプションツール。
マルチドライブは、縦軸まわりの回転だけではなく、図5に示しているように傾いてもくれます。スキャンをする際には光を当てて点群を取っていくわけですが、どうしても人形の頭頂部などでは、スキャンしづらい箇所が出てきます。そのような場所を確実に取るには良い道具ですね。ただしこの場合は、台と本体の距離が固定になります。
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