こんな調子で、ダムダムボーイさんからPICZAの説明を受けたり、雑談したりしている間にNextEngineの方のスキャンが終了していました。
前述したように、スキャンそのものは簡単なのですが、ここからデータを修正する必要があって、その手間が結構掛かります。
なぜかというと、図12を見ていただければ分かるのですが、スキャンデータには、ズレがあったり、形状を読めずに穴が開いているところがあったりするのです。
簡単な修正は、スキャンの際にも使用したSCAN STUDIO HD PROでもできますが、ちゃんと修正するためには、別売りのRapidWorksを使用した方がいいみたいです。こちらのソフトは35万円ですので、スキャナ本体と合わせると合計で85万円くらいですね。
RapidWorksの上位版が、「RapidForm」(250万円)です。RapidWorksは、「RapidFormの一部機能を制限したツール」です。その一番の違いは、実は取り扱えるデータのようです。RapidFormの方は、STLやOBJ、IGES、STEP、パラソリッドなどもインポート可能です。でも、RapidWorksの方は、NextEngineからのデータしか扱うことができません。
故に、NextEngine専用と言ってよいですね。とはいっても、ダムダムボーイさんが言うには、35万円のツールなのに、250万円の価値がある機能が使えるとのこと。取りあえず「スキャンデータの直し専用」と考えているのであれば、これでも十分でしょう。
それでは早速データの修正に取り掛かりましょう。
RapidWorks上には、スキャンされた形状が表示されます。テクスチャも扱うことができますが、今回はテクスチャのことは考えずに、位置合わせを中心に考えていきます。
ダムダムボーイさんいわく、「位置合わせは最も難しい。しかし、最も重要なもの」。
ズレの修正を適当にしたままに作業を進めるとそのズレをその後の工程までずっと引きずっていくことになります。それ故に、どんなに面倒でも位置合わせに手を抜いてはいけないというわけですね。
図13で示されたデータは、黄色や緑、赤などで色分けされています。これはスキャンの面ごとの色です。今回は4面をスキャンしたので、全部で4色になりました。
RapidWorksは、「自動位置合わせ」の機能を持っていますが、ダムダムボーイさんの経験では、「自動位置合わせは、ほぼ失敗する」ということ……。なので、手動でやらなければいけません。
例えば図14では、緑で示されたスキャン面と黄色で示されたスキャン面の位置合わせをしています。それぞれの面から一致する点を複数箇所選択して位置を合わせる作業をします。これは、それぞれの隣り合う面に対して繰り返していきます。下記の動画は、その位置合わせの作業の一部です。
動画3 位置合わせ
比較的ざっくりと位置指定しましたが、それでも結構しっかりと位置が合いました。
まあ、手動であっても、ざっくりで、ここまでちゃんとできるのならば、自動でも「もう少しできてくれてもよさそうなのにな……」と思いますが……。これに限らず、世の中の“自動”と呼ばれる仕組みは、失敗することが多いものです。仕方がないのでしょうか。
今回は4ショットなので、比較的少ない手数で済んでいますが、もし、もっと細かく、多数のショットを取っていると、ここに多くの手間を割くことになってしまいます。だからこそ、「いかに少ないショット数でスキャンをするか」ということが重要です。
いずれにしても、何とかこれで位置合わせが終了しました。
さて次に、スキャンで取り切れなかった部分の穴を埋めていきましょう。
図16に示しているように面の位置はほぼ合いました。でも、あちらこちらに、場所によってはかなり大きな穴が空いてしまっています。
比較的小さな穴については、標準の穴埋め機能で埋めていきます。
しかし、大きな穴の場合にはいっぺんに埋めることができません。そこで、大きな穴の部分には、「ブリッジ(橋渡し)」の機能で、穴のところどころに橋を渡しながら、穴を小さなものにしてから、穴埋めをします。
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