今回から3D CGの話題! 無償3D CGソフト「Blender」を紹介しながら、3D CGのあれこれについて説明していきます。
前回は暑い盛りの2015年7月26日に開催された「ワンダーフェスティバル」(ワンフェス)の話題から始まり、身体も心も熱くなっていました。8月の半ばから激しい暑さの戻りもなくなって、すっかり秋めいてきましたね。
さて今回から、少しばかり3D CGのお話をしていきます。これまでも3D CGソフトの「Metasequoia」をちらっと紹介だけしたことはありましたが、もう少し「作り方」について触れていきたいと思っています。
例えばメカ設計の業務が中心であれば、3D CGでのモデリングはあまり縁がなくて普通ですね。筆者自身もこれまであまり触れてこなかったのですが、最近は3D CGを扱う機会がちょくちょく出てきました。
先日お話をしたあるモデラーさんは、柔らかい形状を作る時には、いったん3D CADの「SolidWorks」でラフに形状を作ってから、3D CGソフトにデータを持っていき、スカルプティングなどで細かな形状を整えていると話をしていました。なるほど、ゼロから3D CGで形を作るのではなくて、このように3D CADと併せて3D CGのモデリングの知識も備えることで、モデリングの幅が広がるかもしれません。
既にご存じのことかもしれませんが、3D CADと3D CGの間にはデータの形式の違いがあります。一応簡単におさらいししておきましょう。すごくざっくりというと、3D CADの場合には、形が数学的に正確な線や面で表現されていて、後はトポロジーの情報などにより、それがソリッドだったり、サーフェスだったりするわけですね。
一方、3D CGの場合、その形状の表現がポリゴンになります。形状を作る際にスプラインなどの曲線を使ったモデリングができるものもありますが、最終的なデータの表現は四角形や三角形のポリゴンというのが基本でしょう。ちなみに、3Dプリンタでの出力に必要なSTLもポリゴンデータですね。故に、STLも3D CGなら編集することが可能です。
さらに、現時点で数は多くはないですが、ボクセルでデータを表現するソフトもあります。
さて、3D CGのソフトですが、CADと同様に高いものから無料のものまでさまざまですね(とはいっても、CADほどに差はないと思いますが……)。
ハイエンドの3D CGモデラーになると、「3ds Max」とか「Maya」などがありますね。
ちょっと試してみるには高価ですが、オートデスクの「Product Design Suite」を持っていれば、それに3ds Maxが付いているので試してみてはいかがでしょうか。
価格が10万円を少し超すくらいで、特にフィギュアをモデリングする人なら、もはや誰もが使っている、と言っても過言ではないのが、Pixologicの「Zbrush」ですね。これに液晶ペンタブレット(ペンタブ)を付ければ“鬼に金棒”でしょう。まあ、私の場合、スカルプティングと液晶ペンタブを日常的に使わないこともあって……。やはり持ち主の腕前によってツールの生かされ具合は変わると思います(笑)。
もっとお手軽にとなると、無償ソフトや、数千〜1万円数千円のレベルのソフトになります。1つは「Metasequoia」ですね。これまでにもご紹介した通り、日本企業のテトラフェイスの開発なので、日本語環境で作業ができます。3D CG初心者が取り組みやすいツールだと思います。かくいう私もこのツールで3D CGのモデリングを覚えました。
無償で高機能を誇るというと、やはり「Blender」ですね。
モデリングだけでなく、レンダリングや、スカルプティング、アニメーション、物理シミュレーションなども組み込まれている、いわば総合ツールみたいなものといってもよいでしょう。ユーザー設定の切り替えで日本語も使えますし、Mac版もあります。
ただし、Blenderについてよく言われるのが、一見“とっつきづらい”、というか、“ちょっと変わった感じ”のUIでしょうか。
しかしこれとて、しょせんは“慣れ”です。毎日のように1年以上使い続けていると、いつの間にか使いやすくなっています。
そういうわけで、今回はBlenderを使ってお話をしていきたいと思います。
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