外部の3D出力サービスに、製品設計のデータをそんなにガンガンアップして、本当に大丈夫なの? 僕は正直、ちょっと怖いです。
先月休載している間、かなりきつい納期の3次元データ作成の仕事に追われていました。その際、作成したデータは片端から、3D出力サービスにガンガンなげて最初の試作をしていたのですが……、頭の中に、ある疑問がふと湧いてきたのです。
3次元データが完成したら、それをSTLに変換し、問題がないかどうかを確認し、必要ならば修正して、3D出力サービスにそのデータをアップロードし、発注するわけですが……、問題はここで流れている3次元データの扱いです。
今回の私のケースもそうですが、言ってみれば、本来であればかなりシークレットのはずの製品の3次元データが、ネットワークを行き交っているわけです。もちろん、このような取引をするには、そもそも相手との信頼関係があることが前提です。またNDAなどの必要な書類を交わしたり、データをパスワード付圧縮するとか、ある特定のやり方でしかデータをやりとりしないとか、人的あるいはシステム的な対策をしていないわけではありません。
しかし実際、大手かそうでないかにかかわらず、ネット上の3D出力サービスに3次元データをアップロードする際は、単に「アップローダーでファイルをアップする」という処理がされるだけであって、セキュリティ的にすごく緩い気がするのです……。個人の趣味で出力をするならともかく、法人用として出力するには、ある意味、非常に危険なことをやっている気がするのですが、どうでしょう?
3D出力サービスで扱われる3次元データは、主にSTLです。
STLの場合、CADの生データとは違い、編集しにくいし、情報量も少ないです。しかし、そのデータを使えば3Dプリンタや切削加工などでモノはできてしまうわけです。それに、あくまで編集しにくいだけであって、編集すること自体は可能なのです。それなのに、サービス提供側からもユーザー側からも、この状況について危機感を覚えているという話があまり聞こえてこないのです。それはなぜでしょうか。
1つは、まだ致命的な問題や事件が起きていないということもあるのかもしれません。あるいは、自分たちがやりとりしているSTLファイルの価値や位置付けが確立していない、ということもあるのかもしれません。
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