オートデスクは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」の構成展の1つである「第37回 設計・製造ソリューション展」に出展し、同社のAI Labが研究開発を進めている「Project Bernini」のデモンストレーションを国内展示会で初めて披露した。
オートデスクは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2025年7月9〜11日/会場:幕張メッセ)の構成展の1つである「第37回 設計・製造ソリューション展」に出展し、同社のAI Labが研究開発を進めている「Project Bernini」(以下、ベルニーニ)の取り組みを紹介していた。「国内の展示会でのお披露目は初だ」(説明員)という。
ベルニーニは、オートデスクが製造業における生成AI(人工知能)技術の活用を目的に推進している研究開発プロジェクトだ。約1万件に及ぶ製品データ(非顧客データ)を学習して構築された「大規模製品モデル(LPM:Large Product Model)」に対し、テキスト、画像、イラストのいずれかを入力として与えることで、複数バリエーションの3Dモデルを自動生成する。
同技術は、研究開発プロジェクトとして位置付けられており、ベルニーニ自体がツールとして提供されるわけではないが、「将来的には、製造業向けインダストリークラウド『Fusion』などにその成果の一部が組み込まれる可能性がある」(説明員)という。
展示ブースでは、開発中のベルニーニのWebインタフェースに、「テキストで生成したい内容を記述する」「画像を選択または任意の画像をアップロードする」「手描きでスケッチを描く」のいずれか1つを入力として与えると、4パターンの3Dモデル(OBJ形式でダウンロード可能)が自動生成される様子を実演していた。
例えば、ラフに手描きした椅子のイラストを入力すると、数秒後(環境や入力内容に依存)には、座面や背もたれを備えた、誰もが“椅子”と認識できる3Dモデルが生成された。
他にも、テキストおよび画像を入力として与えるパターンなども確認したが、内容によってやや仕上がりにバラツキが見られるケースもあったが、おおむね入力のイメージに近い3Dモデルが生成されることを確認できた。
企画フェーズにおけるコンセプトデザインの作成で役立ちそうな印象だが、ベルニーニが真に目指すのは、構造的な意味を持ち、パラメトリックに制御(設計変更)可能なエンジニアリングモデルを自動的に生成することだ。最新の研究成果では、穴やフィレットなどの要素を明確に識別でき、意味付けを行った上で3Dモデル化できるようになっているという。
また、ベルニーニとは別のアプローチにはなるが、Fusionにおける生成AI技術の活用として、「Autodesk App Store」でβ版が公開されているプラグイン「Project Salvador」についても見ることができた。
Project Salvadorは、API(Application Programming Interface)を介して外部の生成AIモデルにアクセスし、Fuion内から生成AIで画像を作成できるものだ。生成された画像は、Fusion上の平面に貼り付けでき、「Generate Sketch」という機能で画像のアウトラインを抽出してスケッチ化でき、そこから厚みを付けて(押し出しして)、立体形状を簡単に作ることができる。構想段階でのアイデア検討やベーススケッチの作成などに活用できるツールとなっている。
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