新型コロナで深刻なマスク不足を3Dプリンタで解消、イグアスが3Dマスクを開発3Dプリンタニュース

イグアスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による深刻なマスク不足を受け、同社が販売する3Dプリンタを活用し、繰り返し使用可能なオリジナルのマスク(3Dマスク)を開発した。

» 2020年03月24日 08時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 イグアスは2020年3月23日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による深刻なマスク不足を受け、同社が販売する3Dプリンタなどを活用し、繰り返し使用可能なオリジナルのマスク(以下、3Dマスク)を開発したことを発表した。

厚さ1mm、重さ7gで、装着時の違和感を軽減し、丈夫で繰り返し利用が可能 厚さ1mm、重さ7gで、装着時の違和感を軽減し、丈夫で繰り返し利用が可能 ※出典:イグアス

 同年3月下旬から3Dマスクを同社社内に試験配布し、社員からのフィードバックを基に改良を重ね、より広範なニーズに対応する3Dマスク製作を目指すという。なお、3DマスクのSTLデータは同社Webサイトで無償公開(男性用、女性用)し、3Dマスクの普及を後押しするとしている。

 同社は、マスク製作に適した素材が使用できること、短時間で製作が完了することなど、同社が取り扱う粉末焼結積層造形(SLS)方式の3Dプリンタ「MfgPro230 xS」(XYZプリンティング製)および「ProX500」(3D Systems製)の可能性に着目。設計から製作まで、全工程を社内で実施することで、短期間での3Dマスク製作を実現した。

男性用、女性用をラインアップ。輪郭にフィットし、装着時のストレスを緩和 男性用、女性用をラインアップ。輪郭にフィットし、装着時のストレスを緩和 ※出典:イグアス

 3Dマスクは、3Dスキャナー「Sense」(3D Systems製)、モデリングソフトウェア「Geomagic Freeform」(3D Systems製)、3Dプリンタ(前述の2機種)を使用して製作している。

 3Dスキャナーで顔をスキャンし、スキャンデータを基に、顔の輪郭に合わせて3Dマスクをモデリングソフトウェアで設計し、3Dプリンタで試作。設計と試作を繰り返し行うことで、人の輪郭と顔の各パーツの形状に沿ったフィット感のある最適な形状を実現した。3Dマスクの企画が立ち上がり、最初のプロトタイプが完成するまでの期間はわずか2日だという。

 3Dマスクの素材は、柔軟性と耐久性のあるナイロン粉末材料を使用。軽量で水や洗剤での洗浄にも対応し、繰り返しの使用が可能である。内部には布、ガーゼ、ペーパー類など、利用者が選んだ素材をセットできる。なお、3Dマスク1個当たりの材料コストは、800〜1200円程度である。

内部には利用者が選んだ素材をセットできる。いつでも取り換え可能 内部には利用者が選んだ素材をセットできる。いつでも取り換え可能 ※出典:イグアス

 実際に3Dマスクを装着した同社社員からは、「一見、堅そうに見えるが装着したらフィット感も良く違和感なく使えた」「マスクが入手できなかったので助かった。繰り返し使える点もよい」「家族の分もほしい」などの声が上がっており、今後は子供用などバリエーションを増やしていく考えだという。

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