3次元CADを触ったことがなかった人たちが、無償の3次元CAD「Autodesk 123D」を使った模型作りにチャレンジ。作業の面倒くささにもだえつつ、やがて3次元プリントまでたどり着いた。
皆さま、お暑うございます。とにかく時間がたつのは早いもの。確か、ついこの前は設計・製造ソリューション展の話題で盛り上がっていたと思うのですが、それから早1カ月以上が過ぎ、気が付けば子どもたちは夏休み。そういえば、ちょうど去年の今ごろ、無償3次元CAD「Autodesk 123D」(123D)を紹介した記事「無償3DCADを試す ――そして時代は変わる?」を書いていました。
その後は、123Dを子どもの夏休みの宿題で使わせてみたり、伊予鉄のNゲージ製作で使ってみたりしました。
実際、私の周囲で話を聞いてみると、「趣味レベルで、3次元CADが本当に使えるのか?」と、興味を持っている皆さんがいらっしゃる様子でした。ということで2012年7月に、私の会社で123Dを使ってみるセミナーを3回に渡って開くことにしたのです。今回は、その様子を紹介していきます。
今回のセミナーで参加していただいたのは、2人と少なかったのですが、私としては、きめ細かいやりとりができてよかったと思っています。
お一方は、現在も製造業にお勤めの、それなりのポジションの方。もうお一方は、現役は引退したものの、現在はコンサルタントとしてバリバリと活躍されている、やはり製造業系の方。
このお二方は、部下たちによって3次元CADが導入され、設計がどんどん3次元化していくさまを見てきたものの、立場上、3次元CADを直接操作することはなかったということです。
今回のセミナーを受講するにあたり、お二方はそれぞれゴールを定めていました。
お一方は、蒸気機関車の図面を手に入れて、それを自分で3次元モデリングしたいということでした。鉄道模型の趣味も本格的ということを聞き、教える立場である私はちょっと緊張してしまいました。
もう一方もやはり、「作りたいもの」があるとのこと。これまで、さまざまなクレーン関連の業務に携わってきて、クレーンの模型を自分で製作することもあるそう。いままでは手作りでやってきましたが、今後は3次元CADを利用してみたいということでした。
いずれのゴールでも、3次元プリンタで造形可能です。どうにか達成できるようにと、私も気が引き締まる思いでした。
……その前にもちろん、今回のお題の3次元モデルをしっかりと完成させることが重要です。
で、今回のセミナーの主題は?
「これまで全く3次元CADに触ったことのない人が、ごく短時間で本当に123Dが使えるようになるのか」というところです。もちろん、できるはずなのでセミナーを開いたわけですが。
このセミナーで私がイメージしたのは、ピアノのレッスンで言えば「大人のためのピアノ教室」なんですね。とにかく、自分が弾きたい一曲が弾けるように学ぶレッスンです。つまり「自分の興味から入る」ということです。
というわけで今回のセミナーの内容ですが、こんな感じ。最初は、基礎編から入りました。
あくまでも3次元モデリングの基礎知識がない方への説明が中心になっています。
ごく短時間でやりますので、乱暴と言えば乱暴なのですが、ソリッドモデラーでは「どのようにすれば」「どのように形状ができるのか」ということを理解してもらうことに主眼を置きました。
「モデリングの基本操作」というのは、要するにスケッチや、押し出し、回転、スイープ、ロフトなどのフィーチャ作成です。実際に操作してもらいながら、目的の形状に合わせて、「どのようにスケッチをして」「どのようなフィーチャを使えばよいのか」ということを体験してもらいました。
その次は、実践編です。伊予鉄の車体をモデリングしていきます。ここでは、「無償のAutodesk 123Dで伊予鉄の模型を作ろう」と同じ手順で作業しました。
「電車の正面(顔)をスケッチして、ボディ形状の半身を作るまで」が初日のノルマでした。
初めてのお二方が一番手間取っていたのは、スケッチでした。具体的に寸法を定義していたわけではなく、上の記事にあったように画像からトレースしたので、ちょっとやりづらかったのかもしれません。それでも、14時から始めたセミナーは18時ぴったりに終わりました。
で、お二方とも予定通り、電車の半身を完成させました。さて翌週は、その続きです。
第2回に訪れたお二方は、この日までにしっかりと予習・復習し、これから製作してみたい模型の図面を見ながらモデリングにチャレンジしてきたそう。熱心ですね。
この回では、電車本体を“ほぼ完成”させることを目指しました。
まずは、前回保存したデータを開いて復習してから、続きに取り掛かりました。電車前面の窓やマーカーライト、そして貫通扉などを作成します。
ここでのポイントは、作業平面の作成やスケッチにおける細かい作業です。ここでの3次元形状作成は、「Extrude」(押し出し)コマンドしか使いません。どちらかというとスケッチに手が掛かり、根気のいる作業が続きました。
それでも「顔」が出来上がると、少し電車っぽく見えてきました。
いよいよ電車の側面のモデリングをするため、少し短めにしておいた電車の長さを本来の長さに戻します。
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