そして、このようなツールを使うためには、3次元データが必要であること、逆に3Dデータさえあれば、さまざまな出力オプションがあることが認知されてきていて、「これまで手で作っていたものをデジタルで作るにはどうすればよいのか?」ということに興味が向かいつつあるといえそうですね。
もちろん、これまでモノを作っていた人たちも新しいものを作ることにチャレンジすることができます。そんな、成果の1つがこれです。
この作品は、Tripshots製作による楽曲のPVに使用された高精細3次元CGによる初音ミクの形状データより、ポリゴンデータからの切削や成形などのような精密加工を得意とするアステックが実体化したものです。
つまり、どういうことかというと、実際に動画に使用されているポリゴンデータを使って、ダイレクトに金型製作してフィギュアモデルに仕立て上げるという試みなんですね。
成形や二次加工といった量産を意識した形状検討などは、すでに何度も行われてきており、現在はこの2社によって本格的な商品化に向けて動き出しています。
ちなみにアステックは、マイクロモータやスイッチなどの精密機構部品の製造を主力としている企業ですが、柔軟にさまざまなことにチャレンジすることによって、もともと持っている精密加工の技術をまったく違う分野に応用しているようにみえます。
しかし、そのベースには、自社の技術や3次元データというものがあって、それを考えると取り立てて荒唐無稽なことをやっているわけではないといえそうです。
このあたりって1つのヒントになりそうですね。
いま、頑張っている日本の製造業は、どこもこれはほかには負けないというものをお持ちなのではないでしょうか。実は「3D」という1つのキーワードだけで、いろいろなつながりができそうな予感を感じた1日でした。
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ということで、今回は1回目のコラムの番外編みたいな内容になりましたが、次回はもう少し硬い方向に話を戻そうかと思います。
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