「3D(3次元)」という言葉自体は、映画や3次元テレビの普及もあって浸透してきてはいますが、それはあくまでも立体視のこと。モノを作るために、現在では多くの工業製品に3次元データが使用されていることは、その方面の仕事でもしていない限り、ほとんどの人は知りません。試しに、街行く人に、「JPEGとはなんぞや?」と聞いたら、それなりの確率で答えてくれるかもしれません。ですが、第1回にも書きましたが、3次元データは「何ですか、それ?」の世界でしょう。業界団体としての事務所を構える以外にも、ワンダーフェスティバルのような場所に、しつこく出展し続けることから、徐々にガレージキットを楽しむ、いわゆる工業的なモノづくりをする人たち以外にも認知度が上がってきたのではないかと思われます。
写真2は、3D-GANのブース……とはいっても、会員会社の21社がまとまって出展した商店街のような形であるので、ほかの個人のブース同様に、1つ1つの出展社が、思い思いに自分たちの商品を販売していました。
わたしも、出展している数多くのディーラーのキャラクターを見て回り、また企業ブースの方の見学もしつつ、3D-GANブースの様子を見ていたのですが、写真を見てもよく分かるように、3Dを使ったモノづくりということに興味を持つ人たちがかなり増えてきているようなのです。
3次元スキャナーやSTLなどのデータ修正ツールもさることながら、普段ならDMS(設計・製造ソリューション展)で見るような3次元プリンタも実機が登場していました。リアルに出力物も置いてあったせいか、興味を持って質問をする人たちが絶えないようでした。わたしとしては、これまでこのような場では見なかった機械が登場してきたことに、ある種のエポックメイキング的なものを感じました。特に3次元プリンタについては、各社ともどんどん低価格化が進んでいます。従来どおりの市場に従来どおりに売っていても、何も変わりませんから、発想を変えて新しい人たちと接することで、きっと新しいものが見えてくるのでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.