中古車の傷やへこみ、再塗装跡などを30秒で可視化する外装スキャナー3Dスキャナーニュース

双日は、Preferred Networksと共同で開発を進めている、中古車の瑕疵(かし)や修復歴を判別可能なドライブスルー型外装スキャナーを発表。併せて、車両の事故歴を可視化するボッシュの評価サービス「Bosch Car History Report」の取り扱いも開始した。

» 2025年06月24日 09時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 双日は2025年6月19日、Preferred Networksと共同で開発を進めている、中古車の瑕疵(かし)や修復歴を判別可能なドライブスルー型外装スキャナーを発表した。同スキャナーの活用により、車両外装全体の傷やへこみ、さび、再塗装跡などの瑕疵を自動的に判別できるようになる。

 2025年秋に、JU岐阜羽島オートオークションの車両検査レーンで実証実験を開始し、2026年春にサービス提供を開始する予定だ。

車両の前後、左右、上面を同時スキャン 目視では判別が難しい色も克服

 同スキャナーは、幅5.0×高さ3.6×奥行き1.2mのゲート状のドライブスルー型で、既存の車両検査レーンなどに後付けで設置できる。

「第38回 オートサービスショー2025」で初披露された外装スキャナーの紹介用展示 「第38回 オートサービスショー2025」で初披露された外装スキャナーの紹介用展示[クリックで拡大] 出所:双日

 光学技術を用いたカメラにより、車両の前後、左右、上面を同時にスキャンし、画像処理によって傷やへこみ、さび、再塗装跡などを視覚的に抽出する。スキャン結果はモニター上で確認可能だ。特に、検査員の目視では判別が難しいとされる白、シルバー、グレーの車両における再塗装跡の可視化に強みを持ち、1台当たりのスキャン時間は約30秒を見込む。

 今後は、実証を通じて多くの教師データを収集し、AI(人工知能)による機械学習を進めることで、瑕疵の自動検出や判別精度の向上を図る。さらに、検査表を自動で作成する機能の追加も視野に入れている。

 JU岐阜羽島オートオークションでは、同スキャナーに加えて、双日が独自開発したタイヤ溝計測器およびアンダーボディー撮像機を導入する。これにより、タイヤの摩耗を0.1mm単位で数値化し、車両下部の腐食や損傷を高精度に可視化することが可能となる。

 実証期間は2026年3月までを予定しており、その結果を踏まえ、スキャナーの機構改善やAI活用による機能強化、オークション業務フローの見直しを行った上で、2026年春の本格サービス開始を目指す。

ボッシュの評価サービスを基に「事故歴診断レポート」を提供

 さらに双日は、ボッシュが開発した事故歴可視化サービス「Bosch Car History Report」(以下、BCHR)に関し、国内における販売代理店としての活動を開始した。顧客の要望に合わせ、ボッシュとカスタマイズしたBCHRを「事故歴診断レポート」として提供する。同サービスは2025年10月からJU岐阜羽島オートオークションに導入され、オークションに参加する企業向けに新たなサービスメニューとして提供される予定だ。

 双日は、今回発表した2つの事業を通じて、中古車における修復歴や事故歴を客観的に可視化する新たなデジタル診断ソリューションを展開し、中古車流通における透明性の向上と日本のデジタル社会の発展に貢献していく考えである。

このニュースのポイント

Q: 双日とPreferred Networksが発表した外装スキャナーとは何か?

A: 車両の外装全体(前後・左右・上面)を30秒でスキャンし、傷・へこみ・さび・再塗装跡などの瑕疵をAIで自動判別できるドライブスルー型スキャナーである。検査員の目視では難しい白やシルバー車の再塗装跡も可視化できる。

Q: このスキャナーはどこで使われ、いつ導入される予定か?

A: 2025年秋からJU岐阜羽島オートオークションの車両検査レーンで実証実験を開始し、2026年春に本格サービス提供を予定している。

Q: 他にどのような機器やサービスが導入されるのか?

A: 双日は独自のタイヤ溝計測器やアンダーボディー撮像機も導入し、摩耗や下部損傷の可視化も実現。また、ボッシュの「Bosch Car History Report(BCHR)」を活用し、「事故歴診断レポート」の提供も開始する。

Q: この記事で注目すべきポイントは?

A: 中古車の外観検査・事故歴確認をAI技術で自動化・高精度化し、流通の透明性向上と業務効率化を目指すソリューションの実例であること。

⇒ その他の「3Dスキャナー」関連ニュースはこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.