旭化成がCAE技術と高機能樹脂を活用した部品設計アプローチを提案人とくるまのテクノロジー展2025

旭化成は「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」に出展し、CAE技術と高機能樹脂を活用した部品提案および開発支援に関するソリューションを訴求していた。

» 2025年05月28日 13時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 旭化成は「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」(会期:2025年5月21〜23日/会場:パシフィコ横浜)に出展し、CAE技術と高機能樹脂を活用した部品提案および開発支援に関するソリューションとして、「トポロジー最適化技術を用いた設計開発支援」と「高機能樹脂の特性を生かした部品/コンセプト提案」の取り組みを訴求していた。

「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」に出展した旭化成のブース外観 「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」に出展した旭化成のブース外観[クリックで拡大]

トポロジー最適化技術を用いた設計開発支援

旭化成が訴求していたCAE技術と高機能樹脂を活用したソリューションの紹介パネル 旭化成が訴求していたCAE技術と高機能樹脂を活用したソリューションの紹介パネル[クリックで拡大] 出所:旭化成

 トポロジー最適化技術を用いた設計開発支援では、設計空間や荷重条件、拘束条件、制約条件に基づき最適な材料配置を算出し、軽量かつ剛性を確保した形状を導き出す。これにより、強度や剛性といった要求性能を満たしながら、軽量な部品設計が可能となる。

 さらに、同ソリューションはトポロジー最適化で導き出した形状に対し、金型の抜き方向や勾配、成形性を考慮しながら、最適な肉厚のリブ形状などを施すことが可能だ。

 パネル展示では、同一材料を用いた初期形状と、同ソリューションによる提案形状との比較を紹介。提案形状が、初期形状と同一性能を保ちながらも26%の軽量化を実現し、部品1個当たり2.73kg(仮定に基づく算定値)のCO2削減効果が見込めることを示していた。

 「単にトポロジー最適化を実施するだけでなく、成形性を考慮した樹脂部品の形状最適化まで実現できる点がわれわれの強みだ。材料使用量の削減はコスト低減だけでなく、CO2排出量の削減にもつながり、サステナブルな社会の実現にも貢献する」(説明員)

 このトポロジー最適化技術を用いた設計開発支援の取り組みは、既にサービスとして提供を開始しており、自動車業界を皮切りに、幅広い産業への展開も視野に入れているという。

高機能樹脂の特性を生かした部品/コンセプト提案

 CAE技術を活用したもう一つのソリューションとして、高機能樹脂の特性を生かした部品/コンセプト提案も紹介していた。同社は樹脂メーカーとして、自社の高機能樹脂の活用先を探索する目的で、課題解決型の提案活動にも取り組んでいる。

 同社の高機能樹脂とシミュレーション技術を組み合わせることで、優れた性能を発揮するとともに、強度や剛性などの要求性能と軽量化を両立する部品設計案を提示する。

 展示パネルでは、アルミ素材から、同社の高減衰性ポリアミド樹脂「レオナ SV104」への置き換えによる防振性向上のアプローチを紹介していた。レオナ SV104は、高い耐熱性と耐久性を備えており、高温領域においても優れた減衰性を発揮する。特に高周波帯ではアルミよりも振動抑制効果が高いため、防振性や快適性の向上に寄与できる可能性がある。

 「自動車メーカーやサプライヤーに対して、このような能動的なアクションを行うことで、ニーズや設計の方向性などを吸い上げ、当社の高機能樹脂の可能性や活用先を模索/提案していきたい」(説明員)

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