Ansysは、Volvo CarsとNVIDIAとの協業により、EVの設計開発におけるCFDシミュレーションを従来の2.5倍に高速化した。この取り組みにより、EVの空力性能と航続距離向上を支援し、製品の市場投入までの時間短縮に寄与する。
Ansysは2025年3月18日(米国時間)、Volvo CarsおよびNVIDIAと共同で、EV(電気自動車)の設計開発における空力シミュレーションの高速化に関する取り組みを発表した。
Volvo Carsの次世代EV「EX90」の設計開発において、CFD(数値流体力学)シミュレーションの実行時間を従来の24時間から6.5時間に短縮した。空力性能と航続距離の向上を実現するとともに、製品の市場投入までの時間短縮にもつなげた。
今回の取り組みでは、AnsysのCFDシミュレーションソフトウェア「Ansys Fluent」に対して「NVIDIA Blackwell」アーキテクチャ搭載GPUを8基、メッシングにCPUコアを適用した結果、メッシュ生成で1時間、ソルバー実行で5.5時間と、CFDシミュレーションにかかる時間を大幅に短縮することに成功した。2016個のCPUコアを使用した同等のハードウェアで同じシミュレーションを実行した場合と比較して、解析時間が2.5倍高速化したことになる。この成果により、Volvo Carsは1日に複数回の設計バリエーションの検討が可能となった。
EVの航続距離に大きく影響する空力抵抗を低減するには、高忠実度のCFDシミュレーションが不可欠だが、処理時間と計算負荷の高さなどが課題となっていた。今回、Volvo Carsは従来のアプローチからGPUを活用した高速ソルバーへ切り替えたことで、最適化スタディの実行回数を飛躍的に向上させている。
また、WLTP(Worldwide Harmonized Light Vehicles Test Procedure)の要件など、重要な排出ガス、航続距離、効率基準を満たす上でも今回のアプローチがさらに役立つ見込みだとする。
この取り組みによる成果は、自動車業界だけでなく、航空宇宙や家電製品など、精密な流体解析が求められるさまざまな分野への応用も期待される。
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