すっかり定着してきた設計者による熱流体解析。現在は、より高度なレベルの解析へステップアップしたいというニーズが増えています。
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近年、設計者が簡易的な流体解析を行うことは定着してきましたが、特に電子機器や装置メーカーの設計現場では「より高度な解析をしたい」というニーズが増えています。
高度な解析について従来は解析ソフトの機能制限やハードウェアのスペック不足(特にメモリ容量)によりモデルや現象を簡略化して解析を行う必要がありました。しかし、最近の解析ソフトの機能向上やハードウェアの64ビット化によって、より現実的な解析を行えるようになったことがそのようなニーズの高まりの一因かもしれません。
実際にあった設計現場からの要望は下記の内容でした。
今回はそれぞれの要望をどのような解析機能で実現できるかご紹介します。
実装されている小型電子パッケージやLEDを搭載した電子機器の解析を行う際、簡略化した形状でも精度を高めることができる機能があます。ソフトによって名称は異なりますが、「コンパクト熱モデル」や「2抵抗コンポーネントモデル」という機能です。通常、設定項目はケースおよびジャンクションの厚さ、ジャンクション−ケース間の熱抵抗、ジャンクション−基板の熱抵抗です。これらの値を簡略化した2枚の平板に設定することによって、本来複雑なモデル化が必要な計算の簡略化が可能です。
プリント基板を含む熱解析を行う場合、基板における銅箔の厚さと支配率を入力することで、積層を考慮した基板の物性値を自動計算しシミュレーションに使用できます。具体的には、基板に使用されている誘電体(樹脂など)の物性値、導体(銅など)の物性値、誘導体、導体それぞれの厚さを入力することで1層の板に置き換えた等価な物性値を計算してくれます。
ジュール発熱という、電流によって発生する熱を計算し、温度分布を求めることができる機能です。材料物性に熱抵抗率が入力してあれば、電流もしくは電圧条件を設定するだけで計算が可能です。電流値は分かっているけれど、発熱量が分からずに正確な計算ができなかった場合には便利な機能です。
上記以外にも最近の設計者向け熱流体解析ソフトには便利な機能がまだまだたくさんあります。昔、解析ソフトを検討して諦めていたテーマも現在の解析ソフトでは問題なく計算できるようになっている可能性もあります。
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