住友ゴム工業とQuemixは、量子コンピュータによる非線形方程式の計算を指数関数的に加速する読み出し手法を開発した。計算結果の読み出しコストを抑え、高速性を維持したまま大規模解析に対応できる。
住友ゴム工業は2025年11月27日、Quemixとの共同研究で、量子コンピュータによる非線形方程式の計算を指数関数的に加速する手法を開発したと発表した。関数に含まれる周期性を基に主要成分を抽出し、より少ないデータから解を再構成することで、読み出しの効率を高めている。
量子計算は計算問題を高速に処理できるが、計算結果の数値を取り出す「測定プロセス」を構成する処理にコストがかかるという課題があった。特に、非線形方程式の解法において、計算自体を高速化する利点を生かせていなかった。
開発した手法はこの問題を回避し、状態測定の繰り返しによるコスト増加を抑えながら、量子計算の高速性を実際の計算課題で発揮できる。従来手法と比較した検証では、流体力学で用いる「バーガース方程式」の計算を対象に、新手法が大規模シミュレーションでも効率を維持できることを示した。
また、高分子材料の構造解析に用いる高分子SCFT(Self-Consistent Field Theory)計算でも指数関数的な速度向上を確認しており、材料分野への応用が期待される。
両社は今回の成果を、量子計算の実用化に向けた重要な一歩と位置付けている。特に、材料特性解析や流体シミュレーションなど膨大な計算資源を必要とする分野で、量子計算が競争力を発揮する可能性が高まると見ている。
住友ゴム工業はこの成果を、同社の長期経営戦略「R.I.S.E. 2035」の柱の1つとなる「ゴム起点のイノベーション創出」につなげる考えだ。
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