特集
» 2022年04月07日 10時00分 公開

3Dスキャンサービス「PFN 3D Scanner」のβテストをメカ設計者目線で試してみた徹底検証(1/3 ページ)

Preferred Networksが提供開始する3Dスキャンサービス「PFN 3D Scanner」のベータ版トライアルを実際に体験し、メカ設計用途でどの程度活用できそうかを検証してみた。また、PFN 3D Scannerならではの特長を生かした活用用途はないか、その方向性についても併せて検討した。

[小原照記/いわてデジタルエンジニア育成センター,MONOist]

 機械学習/深層学習の研究開発スタートアップ企業として知られるPreferred Networks(以下、PFN)が、間もなく3Dスキャンサービスの提供を開始しようとしています。その名も「PFN 3D Scanner」です。

 今回、正式サービス開始前の「ベータ版トライアル」(2022年3月31日で終了しています)を試す機会を得ることができたので、せっかくなので設計者目線でどの程度、業務活用できそうかを検証してみました。実際に利用してみての率直な感想も交えつつレポートしてみたいと思います。

 PFN 3D Scannerに関しては、既にWebサイトもオープンしており、サンプルデータも多数掲載されています。「高品質」「短納期」「難しかった物品も」といった3つのキーワードがうたわれていますね(画像1)。

「PFN 3D Scanner」の公式Webサイトの扉絵 画像1 「PFN 3D Scanner」の公式Webサイトの扉絵[クリックで拡大] 出所:Preferred Networks

 さて、PFN 3D Scannerの実力を探っていくわけですが、具体的には、“メカ設計での活用用途”を探るために、PFN 3D Scannerでスキャンしてもらったデータを、筆者が普段から使用している3D CAD「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)上に読み込んで検証作業を行いました。

 なお、今回の検証結果はベータ版トライアル期間中(2022年3月時点)のものになりますので、正式サービス開始以降のサービス内容やデータ品質/精度などと異なる可能性がありますので、あらかじめご了承ください。

「PFN 3D Scanner」の公式Webサイト上には、3Dスキャンデータのサンプルが多数掲載されており、360度動かしながら自由な視点で閲覧できる 画像2 「PFN 3D Scanner」の公式Webサイト上には、3Dスキャンデータのサンプルが多数掲載されており、360度動かしながら自由な視点で閲覧できる[クリックで拡大] 出所:Preferred Networks

「PFN 3D Scanner」とは? その特長やサービスについて

 PFN 3D Scannerで使用されている3Dスキャナーですが、ノウハウは「社外秘」とのことで、残念ながら装置外観の写真などは公開されておりません。

 筆者が知り得た情報としては、複数台のデジタル一眼レフカメラを使用しており、LiDARセンサーなどは使用していないとのことです。また、透明な板の上にスキャン対象物を載せて撮り方を工夫しているといいます。この3Dスキャナー1台で、1日200個以上の対象物を3Dスキャンできるとのことで、普段、産業用3Dスキャナーを使用している筆者からすると驚異的なスピードです。

 一方、スキャンデータについては、AI(人工知能)で用いられる「ニューラルネットワーク」と「微分可能レンダリング」によって、写真のようなきれいな見た目を忠実に再現したテクスチャー付きの3Dメッシュデータが生成されます。

 微分可能レンダリングとは、出力(画像)が理想の姿に近づくように入力(3Dモデル)をどう動かせばいいかを計算する仕組みで、深層学習モデルの学習と同じ仕組みにのっとっているとのことでした。一般的に、3D再構成には多くの計算量が求められますが、PFNが自社で保有するスーパーコンピュータ(スパコン)を用いることで、短期間での納品を実現しているそうです。

 サービス利用料ですが、ベータ版トライアル価格で1点当たり2万2000円で、スキャン対象の物品到着後、基本的に3営業日以内に3Dメッシュデータ化してくれるとのことでした。納品データ形式は、OBJ、FBX、glTFの3種類です。色情報を持ったデータを提供してもらえます。また、スキャン対象物のサイズは最大300×300×300mmで、重量は2kg以内と規定されていました。

 やはり気になるのは、どれくらいの精度で3Dデータ化してくれるのかです。映像作品やゲームコンテンツなどで使用するCGとは違い、3D CADを用いたメカ設計の世界では、精密な部品を扱うことが多く、数μmのズレも許されません。設計者であれば、まず精度に目が行くでしょう。

「PFN 3D Scanner」(ベータ版トライアル)を実際に利用してみた

 今回何を3Dスキャンしてもらったのかというと、主に100円ショップで調達したグッズと3Dプリンタで造形したサンプルを幾つか用意しました(画像3)。

今回のスキャン対象物。(左)100円ショップで集めてきたもの/(右)3Dプリンタで造形したもの 画像3 今回のスキャン対象物。(左)100円ショップで集めてきたもの/(右)3Dプリンタで造形したもの[クリックで拡大]

 具体的なベータ版トライアルの利用手順ですが、まず、先ほど紹介したPFN 3D ScannerのWebサイトから応募フォームにアクセスして必要な情報を入力します。その後、入力したメールアドレス宛に送付先情報などの連絡が入りますので、指定の住所へスキャン対象物を送ります(送料は元払い)。これでデータの納品を待つだけです。

 通常は、スキャン対象物の到着後、3営業日以内でデータ納品してくれるとのことでしたが、ベータ版トライアルということもあってか、筆者が発送してから10日ほど(土日含む)待たされました。納品データの受け取りは、メールに記載されているURLからオンラインストレージにアクセスしてダウンロードする形式となります。また後日、スキャン対象物もきれいに梱包(こんぽう)して返却してくれます(着払い)。

 繰り返しになりますが、今回試したのはベータ版トライアルですので、正式サービスと手順などが異なる可能性があります。ご利用の際は、Webサイトの注意事項などをよくご確認ください。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.