パビリオンの外装に命を吹き込む凹凸テクスチャー 3Dプリント技術で転写3Dプリンタニュース

ExtraBoldは大阪・関西万博の「シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』」に採用された海水コンクリート製パネルの一部製作に、是永商会とともに参画した。

» 2025年04月30日 06時00分 公開
[八木沢篤MONOist]

 ExtraBoldは2025年4月28日、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」で河森正治氏がプロデューサーを務める「シグネチャーパビリオン『いのちめぐる冒険』」に採用された海水コンクリート(真水の代わりに海水で練った新たなコンクリート建材)製パネルの一部製作に、是永商会とともに参画したことを発表した。

大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」の外観 大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」の外観[クリックで拡大] 出所:ExtraBold

 いのちめぐる冒険パビリオンは、鉄骨フレームとコンクリートパネルで構成される“セル(細胞)”を基本単位とした構造を用い、「生命が生まれ、めぐり、つながる」様子を建築物として具現化している。セルを構成するコンクリートパネルの一部に、人間が使える貴重な水資源の代わりに大阪湾の海水を使用した海水コンクリートを採用し、建築的挑戦と環境配慮の両立を図っている。

 今回、海水コンクリート製パネルの表現力を最大限に引き出すために、ExtraBoldの3Dプリンティング技術と是永商会の施工技術を用い、複雑かつ高精度な凹凸が施されたテクスチャーパネルを開発した。

(左)完成したテクスチャーパネルを確認するExtraBoldのメンバー/(右)実際に設置されたテクスチャーパネルの一例 (左)完成したテクスチャーパネルを確認するExtraBoldのメンバー/(右)実際に設置されたテクスチャーパネルの一例[クリックで拡大] 出所:ExtraBold

 約3カ月にわたった開発フェーズでは、型枠(転写パネル)の造形にExtraBoldのペレット押出式大型3Dプリンタ「EXF-12」を活用し、是永商会のエンジニアがExtraBoldの拠点に滞在しながら技術検討と試作を進めた。また、その後の量産フェーズでもEXF-12を使用し、両社が密に連携して製造に向けた各種調整や品質管理を行い、テクスチャーパネルの量産を実現した。

 高品質かつ再現性に優れた転写パネルの製作プロセスの確立など、同プロジェクトを通じて得られた知見は、持続可能なモノづくりを支援するExtraBoldの法人向け会員制サービス「BOLDGYM ACADEMY」にも展開され、建材用途における3Dプリントの可能性とその発展などにつなげたい考えだ。

ExtraBoldのペレット押出式大型3Dプリンタ「EXF-12」(奥)で造形した型枠(手前) ExtraBoldのペレット押出式大型3Dプリンタ「EXF-12」(奥)で造形した型枠(手前)[クリックで拡大] 出所:ExtraBold

⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.