慶應義塾大学KGRI 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターを中心とする共創チームは「大阪・関西万博」で、循環型モノづくりシステム「双鶴」を常設展示。2機のロボットアーム型3Dプリンタや藻類由来のバイオプラスチックを用い、未来の工場の姿を披露する。
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI) 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターを中心とする共創チームは2025年4月4日、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の日本政府館「ファクトリーエリア」において、3Dプリンタを活用した循環型モノづくりシステム「双鶴(そうかく)」を常設展示すると発表した。
双鶴は、2機のロボットアーム型3Dプリンタを活用したシステムで、ごみや騒音が少なく、省電力での製造を実現する。2本のアームが鶴のように助け合いながら有機的に動作し、日本館のテーマ「いのちと、いのちの、あいだに」との調和を象徴的に表現する。
会場内には、慶應義塾大学KGRI 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターでセンター長を務める田中浩也氏(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)らが設計を手掛けた3Dプリントによる藻類由来のバイオプラスチック製スツールが設置され、実際に座ることができる。
田中氏を中心とする共創チームは、科学技術振興機構(以下、JST)によるCOI(センターオブイノベーション)プロジェクト「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」(2013〜2021年)において培われた、国産技術をコアとする混合リサイクル式3Dプリンタ技術を確立。さらに、JSTの「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」における「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」(2023年〜)では造形上の自由度を高めるべく、2機のロボットアームを用いたシステムへと発展させて、双鶴の実現につなげた。
こうした約10年に及ぶ研究活動が、日本政府館のコンセプトと合致したことから、公募枠で展示協賛企業/団体として選定された。会期中184日間にわたり、ファクトリーエリアでの双鶴の常設展示が行われる。
今回、大阪・関西万博での双鶴の実現/展示に向けて、金沢大学 COI-NEXT(再生可能多糖類植物由来プラスチックによる資源循環社会共創拠点)、エス.ラボ、DigitalArchi、放電精密加工研究所の4者を加えた共創チームを新たに編成した。
金沢大学 COI-NEXTが国産バイオプラスチックの研究開発を、エス.ラボが国産3Dプリンタの基盤となる機械開発を、DigitalArchiがロボットアーム型3Dプリンタの動作制御技術を、放電精密加工研究所が混錬プラスチック製造技術を担当した。
会場ではこれらの要素技術を結集し、システムとして1つにまとめ、材料の混錬から、製造、検査、仕上げ、修理、リサイクルまでを総合的に表現する「未来の工場(スマートファクトリー)」をお披露目する。2025年8月には、スツール製造の実演も予定されている。
双鶴によって製造される藻類スツールは、植物由来の材料(藻類を混錬したバイオプラスチック材料)が使用され、高耐久、耐候性を備えたロングライフな製品だという。将来不要になった場合には、3つの部品に分解して粉砕し、再び3Dプリンタの材料として再利用できる。
同スツールの企画設計(基本設計)は慶應義塾大学KGRI 環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター センター長の田中氏が、実施設計(詳細設計)は同 特任講師の湯浅亮平氏が、材料設計と色彩調整は慶應義塾大学 SFC研究所 所員の高橋昭人氏が担当した。
会期中、日本政府館の来場者から意見を収集し、今後の研究活動や国際展開に反映していく。また、同スツールは屋外にも設置でき、照明の内蔵も可能な作りになっており、万博終了後も自治体の公共空間整備などに応用することを目指す。
今後も同研究チームは、循環型モノづくりを“循環型まちづくり”へと発展させるため、産官学連携による共創プロジェクトを推進していく。
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
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