パナソニックグループは「CEATEC 2024」において、「2025年大阪・関西万博」に出展予定のパビリオン「ノモの国」における資源循環の取り組みとして、使用済みの家電から回収したリサイクル材料の活用などを訴求していた。
パナソニックグループは「CEATEC 2024」(2024年10月15〜18日、幕張メッセ)において、「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」に出展予定のパビリオン「ノモの国」における資源循環の取り組みについて訴求していた。
ノモの国は、敷地面積3508.08m2、建築面積1546.23m2、延床面積1731.64m2を有するパナソニックグループのパビリオン(施主:パナソニック ホールディングス)で、「3つの循環で生まれるパビリオン」をテーマに建設が進められている。ノモの国という名称は「モノとこころは写し鏡のような存在である」(万博公式サイトより)という考えに由来して名付けられた。
3つの循環とは、(1)使用済みの家電から回収したリサイクル材料の活用、(2)パナソニックグループの工場端材/廃材の活用、(3)パナソニックグループの環境に配慮した技術や製品の活用のことで、これらを通じて資源循環型のパビリオン建築を実現するという。
(1)使用済みの家電から回収したリサイクル材料の活用では、パナソニックグループの家電リサイクル工場において、さまざまな協力企業とともに実現する資源循環のスキームを活用し、使用済み家電から回収したガラス、銅、鉄などから生成された建築部材をパビリオンの建設に用いる。
パビリオンの外構部用の舗装ブロック(約749m2)には、使用済みのドラム式洗濯乾燥機(約9200台分)から回収したガラス(フタの部分のガラス)を用いて製造したインターロッキングブロックを全面採用する。こちらは太平洋プレコン工業との協業によるもので、「ドラム式洗濯乾燥機のリサイクルガラスを使用してインターロッキングブロックを製造するのは世界初」(説明パネルより)だという。
ガラスを含んでいるため、一般的な舗装ブロックよりも熱の吸収が少なく、路面温度の上昇を抑えられる他、反射特性により光がキラキラと反射するなどの効果(視認性向上や演出面での効果)が得られる。「人や車両が通行しても問題ないレベルの強度を確保している。多くの人が訪れる万博を通じて、実用面での検証をさらに進めていき、将来的な社会実装につなげていきたい」(説明員)。なお、万博終了後はブロックとして新たな場所でのリユースを予定しているとのことだ。
さらに、パビリオンで使用する幹線ケーブル(891m)の銅約1.2t(トン)についても、三菱マテリアルおよび住電HSTケーブル協力の下、使用済み家電のプリント基板から回収した銅を原料とするリサイクル銅を採用する。こちらも万博終了後に回収し、パナソニックグループ内で使用(リサイクル)する計画だという。
パビリオンを構成する主な柱やはり(接合部のプレートなどを除く)の約98%に当たる97.1tの鉄を、同じく使用済み家電から回収したリサイクル鉄で賄う。パナソニックグループでは、2013年から東京製鐵とともに、家電リサイクル工場から回収した鉄スクラップを、再び製品材料の鉄として使用する資源循環のスキームを構築してきた。今回のパビリオン建設でもこのスキームを活用したリサイクル鉄を用いる。万博終了後には、再度パナソニックグループの製品などの材料に利用される予定だ。
「われわれは、材料からモノを作る部分は得意だが、リサイクルや循環の仕組み作りに関しては1社だけでは難しく、外部のパートナー企業や自治体などと協力、連携しながら進めなければならない。現状、資源循環を実現するにはコストがかかるが、メーカーとしてきちんと向き合い、取り組んでいく必要がある」(説明員)
(2)パナソニックグループの工場端材/廃材の活用では、システムキッチンなどの製造に用いる人造大理石や、テレビに使用するプリズムシートなどの端材/廃材をアップサイクルし、パビリオンの内装や照明として活用することを予定しているという。
そして、(3)パナソニックグループの環境に配慮した技術や製品の活用では、パナソニック ハウジングソリューションズのアブラヤシ廃材を活用した木質ボード「PALM LOOP」や環境配慮型木質床材「サステナブルフロアー」をパビリオンの内装に使用する。PALM LOOPは応接室のブラインドや洗面所の自動ドアの扉面材として、サステナブルフロアーは応接室の床材として活用予定だ。
なお、展示ブースでは、木質ボードのPALM LOOPと、植物由来の高濃度セルロースファイバー(CeF)成形材料「kinari」で作ったジョイントパーツを組み合わせた“サステナブルな展示台”を用いて、Sustainability(サステナビリティ)をテーマとした同社の取り組みを紹介していた。
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