　XENCE Architecture Studio（XENCE）は2025年11月22日、未利用木材と金属プリント部材を組み合わせた実証建築「WOOD X NODE」において、設計と施工が完了したと発表した。竹中工務店とシモダフランジが共同で金属3Dプリンタを用いてジョイントを作成し、木材架構と組み合わせた。この実証により、地方林業とデジタルファブリケーションを融合させた建築モデルを提案する。

未利用木材と金属3Dプリンタ製ジョイントによるシェルターモジュール［クリックで拡大］出所：XENCE

　同プロジェクトにおいて、XENCEはMX3D製のWAAM（Wire Arc Additive Manufacturing）方式金属3Dプリンタを使用し、建築スケールの部材を造形した。さらに、3Dプリンタの特性を踏まえ、ジョイント部にトポロジー最適化を施したステンレス製部材を開発した。製作過程では、WAAM方式の造形性能を生かし、約50cmの金属ジョイント20ピースを造形した。

トポロジー最適化によるジョイント部のデザインプロセス［クリックで拡大］出所：XENCE

　木材の調達はnojimokuと連携し、従来は廃棄されていたミミ材やチップ材を活用することで森林資源の循環を支援するとともに、建築物に地域の独自性を反映させた。この取り組みにより、製材から大工、組み立てに至るまでの既存サプライチェーンと連携しつつ、複数素材による建築架構システムを構築した。

シモダフランジが国内で初めて導入したWAAM方式の金属3Dプリンタ（MX3D製）［クリックで拡大］出所：XENCE

　建設分野では、省資源化と省工程化を背景に、3Dプリンタの活用が拡大している。中でもWAAM方式は、経済性と造形速度の面から建築用途での期待が高い。同社は、デジタルファブリケーションが地方産業と建設産業の連携を促進し、少量生産や個別対応においても生産性を維持できるとみている。

施工時のジョイント部の仮組状態［クリックで拡大］出所：XENCE

　今後同社は、農村部での素材創出や都市部における解体材の活用などを通じて、3Dプリンタを軸とした循環経済を展開する方針だ。廃材に適したジョイントを3Dプリントして新たな構造体を構築するなど、建築×林業×デジタル技術の連携を強化し、地域課題の解決と産業構造の変革を目指す。

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