安価な3Dプリンタの品質が高まり、仕事でも使えるようになったことで、その用途の“向き・不向き”に応じた使い分けもしやすくなったのではないでしょうか?
多くの光造形系の3Dプリンタの材料同様に、Formlabsの材料は高温にさらされる環境には耐えられません。もちろんABSも80℃を超えるとヤワになってきますが、FDM用の材料は最近では多岐にわたり、ちょっと熱湯を注いだくらいではびくともしないものまであります。また、微細な造形が必要でなくてABSなどの指定があればFDMでよいでしょう。
また、Form2は確かに“良い機械”ですが、やはり「DWS」などのような“価格の桁が違う”機械と比較すればやはり差があるでしょう。
ただ、「3Dデータ作成」というバーチャルな空間での作業と、「“まともな品質”でリアルなものを作れる」という現実の空間がつながった、ということで、本来の仕事としてモノを作っている人たちにとって、今まで以上に3Dプリンタの存在が意味を持つのではないでしょうか。
そうそう、Form2では、標準的な樹脂の他、「Tough Resin」という強度のあるレジン、私も多用している「Flexible Resin」、キャスティング用のレジン、それに歯科技工用レジンなどが用意されています。
さらに、私にとって価値があるのが、Formlabs社のメーリングリストです。英語ですが、熱心なユーザーさんたちがそこで日々意見交換をしています。ここから私が得たヒントも本当に多いです。
キャスティング用のレジンはまだ硬化に難があるらしく、ものすごい数のスレッドが飛び交いながらノウハウがやりとりされています。その中で気が付いたのは、「ジュエリーデザイナーさんもかなり使っているんだな」っていうこと。ジュエリーデザインの現場で、3Dモデリングや3Dプリンタは、もう“当たり前”になっているんですね。
Form2にかぎらず、業務でデスクトップの3Dプリンタをまだ使っていなければ、今がひょっとしたら検討のタイミングかもしれませんよ?
ということで、また次回まで。ではでは〜。
水野 操(みずの みさお)
1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンター関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。
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