Form2は、クラウドファンディングの「Kickstarter」発の、Formlabsによる「Form1」の進化系といってもよいでしょう。Form1自体も現在は「Form1+」という後継機種が出ています。
もともとは「光造形」という、かつては個人や私のような零細企業にはまず手が届かないという印象だった装置が、今や自分たちにも手が届くというインパクトはかなりありました。
ただ、実際に使っている人たちの話を聞くと、当時のForm1は機械自体や出力の安定性からいっても、どうも苦労していそうだったので、それほど私の食指は動きませんでした。
ところがForm2の場合、「どうも、Form1よりもかなり良くなっているらしい」というウワサが聞こえてきて、さらに販売店さんに聞いてみても「取りあえず、初期不良などによるお客さんからの連絡はないですね」ということだったので、即買うことにしました。
Form2の日本での販売価格は60万円を少し切る程度で、もちろん“安い買い物”とはいえません。しかし業務用機種を買うことを考えればはるかに安価です。実際、ミッドレンジ3D CADよりも安価です。小さくとも3D CADを使う一企業であれば、これくらいの価格であれば手は出せるのではないでしょうか。
ホビーであれば、多少苦労しても「いろいろと自分好みにいじくることができる」というのは魅力だと思います。しかし業務利用の場合は、当たり前ですが、そんなところで苦労はしたくありません。それは、FDM機でも同じですね。
もちろん出力におけるノウハウというのは、どの機械でもあって、より高品質に仕上げるために、出力する度ごとにノウハウをためていくわけですが、取りあえず面倒なこと抜きに“まあまあ許せる”品質で出力したいわけです。
特に私の場合、Form2で最初に出力したのが、普通の樹脂ではなくてFlexibleという、エラストマのような樹脂で、それを使って機能のテストをしようとしていました。とにかくすぐに形にならないとお話にならないわけです。
Form2(やForm1+)で使用するソフトは「PreForm」というソフトですが、このソフトでは、ひとまずSTLファイルを読み込んだら、後は「ワンクリック・プリント」というボタンをクリックするだけで、モデルを適切な向きに向けてくれて、かつ光造形初心者では少々難しいサポートの設定も勝手にやってくれて、さらにデータをプリンタに転送もしてくれます。プリンタへのデータ転送ですが、方法はいくつかありますがお勧めはWifi接続ですね。
デフォルトの設定では、やはり「ここにサポートは付いてほしくない」という場所にまでサポートが付いてしまったりはあるものの、とにもかくにも、「失敗せずに出力できる」ことの安心感には代えがたいものです。もちろんサポートを外したり、逆に増やしたり、モデルへのサポートの接地面積を増やしたり・減らしたりは自由にできます。使うことに慣れてくれば、そのあたりは自分でも制御できます。
「サポートを付けないと危ないよ!」ということはグラフィカルに表示されますが、そもそもかなり保守的な設定のせいか、それを無視しても案外ちゃんと出力できることも多いのです。
すみません、諸事情によりモザイクを掛けているので、一体何が何だか分からないかもしれませんが……。要するに上のワークから逆さまに造形するタイプのものでございます。
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