もう少し乱暴なことも可能です。通常はこのようなものをSTLにすることはあまりないかもしれませんが、分かりやすい例として、以下のようなサーフェスモデルをSTLにしてみました。
当たり前ですが、サーフェスなのでボリュームは存在していません。それに面の裏表の向きも気になります。そこで早速、先ほどのRepairメニューを起動してみましょう。
今度はRepairメニューの中の、Automatic Repairではなくて個別の修正をしてみます。ここで行ったのは、「Close all holes」(穴を全てふさぐ)です。むやみにこのコマンドを使用してもうまくいかないこともありますが、この場合、上下にある穴だけなので特に問題はありません。このコマンドの適用ですぐにふさがってしまいました。
しかし、実際にはまだエラーがあるようです。画面上で茶色く表示されていますが、このことから面の裏表が正しくないことが分かります。
そこで、今度は「Part」(パート)メニューから「Invert Part」(パートを反転)コマンドを起動してみます。
今度はモデルが緑色に変わり、びっくりマークも消えましたので修正が完了したことが分かります。
最後にもう1つ有効な機能を見てみましょう。それがメッシュの数の削減です。Autodesk123D Designでもそれなりに頑張ると、コルビジェのスリングチェア「LC1」のモデリングができたりもします。
さて、このイスをSTLで保存したらどうなるでしょうか。
とにもかくにも、まず修正が必要なことは分かりました。しかし、このモデルにはもう1つ大きな問題がありました。というのは、このモデルのサイズが128Mバイトもあるということです。大抵の出力サービスでメッシュの数やファイルのサイズに制限があり、それを超えると受け付けてはもらえません。そこで、メッシュの数の削減も必要になるのです。
そこで、ここではまずデータの修正を行った上で、メッシュの数を減らします。なお、メッシュリダクションはnetfabb Privateの機能になります。
Border Edgeは4000以上あるようです。また、ズームインして細かいところまで見てみると、イスのフレームも非常に小さなメッシュで構成されていることも分かります。データの修正については、Automatic Repairを試してみましょう。
修正を適用してみるとエラーが全てなくなっていることが分かります。ボリュームもきちんと表示されています。また、そのことによる形状への影響も特にはなさそうです。
モノによりけりですが、エラーの多いフィギュアだと、Automatic Repairを掛けると形状がおかしくなってしまう場合もあるので、修正前後で特に大きな問題がないかどうかを確認してみましょう。
さて、エラーはなくなりましたが、このままではまだデータの容量が大きいので、3Dプリントの出力サービスに送れません。そこで、今度はメッシュの数を減らします。そのためのコマンドとして、「Triangle Reduction」(三角形を減らす)を選択します。
ここでは、元の50%に設定してみました。Fig17のイスと比較してみると三角形の数や大きさ、形などが変わっていることが分かります。
メッシュ数の削減が終了後にこのモデルの情報を確認すると、三角形の数が元の半分に減っていることが分かります。そして何よりも大事なのは、このおかげでファイルのサイズも11Mバイト強にまで減らせたということです。
STLの細かさを元のCAD上で指定できれば、そちらで対処することもできます。例えば123D Designの「Export STL」(STLのエクスポート)コマンドでは指定ができません。その際に、この機能は便利ですし、何よりも元の3次元モデラーに戻らずにこのまま作業できるので、ちょっとした作業の効率化につながるかもしれません。
以上、netfabbでのSTLデータの修正についてざっくり説明したところで、今回はお終いです。詳しいことは別の機会に……。また来月にお会いしましょう! ではでは。
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