マーケットで有力なポジションを占めている大手ソフトウェアベンダーは、既に「ライセンス+保守」という従来のシステムで順調にビジネスが回っているため、レンタルプランに強い興味を示すとは限りません。「販売代理店を含むベンダー側にはレンタルのメリットはあまりない」という意見もあるでしょう。例えば、ライセンス提供以外の、保守サービスやセミナー、マニュアル提供といった従来のビジネスモデルがやりづらくなるからです。
ですが、3次元CADは少し前の普及期で、ひとまず、“いきわたるべきところには、ほぼいきわたってしまった”ような状況ではないかと思います。実際、どのCADベンダーも、「他社システムからの乗り換え」もしくは「これまでとは違うユーザー層」へのアプローチに取り組んでいます。レンタルライセンスは、「システムには興味はあるけれど、購入には、コストなどの理由で二の足を踏んでいた」という潜在ユーザーのニーズを満たせる可能性があります。新たなユーザー層を開拓する後押しになるでしょう。
もちろんユーザーにとってもメリットが多くあります。必要なライセンス数をコントロールしやすくなります。何よりも本格的な3次元設計へのアプローチもしやすくなるでしょう。それに、この形式のライセンスであれば、「資産にならないので、事務的な作業が楽」という大手企業の声も実際に聞いたこともあります。
最近では箱に入ったソフトウェアを買うことも少なくなりました。ダウンロードして、「支払いも月ごとで」という波が、さまざまな分野で増えてきました。それはきっと、ソフトウェアの提供者側にも利用者側にもメリットがあるということが十分に認識されたことの表れではないでしょうか。そして、クラウドの環境にも慣れてきたということもあるでしょう。
今、レンタルというライセンス形態は、3次元CADという分野において、ユーザ−にとってもベンダーにとってもメリットのあることではないでしょうか。メカ系3次元CADの新しいライセンス形態のオプションとして、もっとさまざまなCADベンダーが、レンタルライセンスを積極的に考えてほしいと私は思います。
そのうちクラウド3次元CADの実践レポートもお届けしたいと考えています。
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