ユーザー登録不要の無償CAD「FreeCAD」はモデリング以外の機能も盛りだくさん。一度覚えたら、今後のモノづくりの世界がぐっと広がること請け合いだ。今回はモデリング機能の一部を紹介する。
「FreeCAD」はその名の通り、一切の機能が無料で使えるオープンソースのパラメトリック3D CADだ。基盤とするジオメトリカーネルは「OpenCasCade」で1990年代に存在した3D CAD「CAS.CADE」のプログラムをオープンソース化したものだ。同ソフトの開発は2002年から10年以上かけて、世界各国の有志の手によりコツコツと行われてきた。このプログラムは商用利用も可能だという。
海外発のプロジェクトながら日本語版のソフトも備える。何より、使用にあたってのユーザー登録が一切不要な点は、特に個人情報の管理に不安を覚えるユーザーにとって安心な点だろう。
FreeCADは3D CADを使うのが生まれて初めてだという人にとっては、やや取っつきづらいUIかもしれない。一方、設計業務で長年3D CADを使ってきたような人にとっては、どこか懐かしい感じがするUIだろう。
同ソフトは部品のモデリング以外に建築設計向けツールや有限要素法解析(FEM)、ロボットシミュレーション、スプレッドシートなど、備える機能がとにかく幅広い。ユーザー自身でカスタマイズや拡張することも可能だ。記事執筆時点の最新(現行)バージョンは15で2D図面の製図機能はない。アセンブリのワークベンチは存在するがV15のインストール時には含まれていない。別途、プラグインすれば使えるようになる。なお開発中であるV16もプログラムが公開されており、試すことが可能だ。
今回は現行バージョンであるV15のモデリング機能の一部を紹介する。
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FreeCADはWindowsやMac OS Xの他、UbuntuやFedoraなどLinux系OS(POSIX)も対応する。Windows版は、32bit版と64bit版を備える。日本語版はOSDNによるFreeCADの日本語サイトからダウンロードできる。Windows版の場合は「FreeCAD-0.15.4671_x64_setup.exe(64ビット版)」または「FreeCAD-0.15.4671_x86_setup.exe(32ビット版)」をダウンロードし、インストーラを起動してインストールできる(ファイル名称は記事公開時点のもの)。
FreeCADのデータの拡張子は「.FCStd」。モデリング以外の機能も盛りだくさんなだけに、インポートとエクスポートに対応するデータの種類(拡張子)は以下のように非常に豊富だ。もちろん、STLやOBJのインポート/エクスポートにも対応する。
「.x_t」などパラソリッドの3Dデータは書き込み・読み込み共にできない。
FreeCADは冒頭で説明したように、3Dモデリングに限らない多くのワークベンチ(機能)を備えている。アセンブリのように初期インストール時にはなく、プラグインして追加するワークベンチもある。本記事の機能紹介では3Dモデリング関連だけに絞る。
メッシュツールやFEMの機能の内容が気になるところだが、こちらは別の機会に紹介したい。
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