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» 2013年09月27日 11時00分 公開

レンタルのメカCADってどう思いますか?3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(27)(2/3 ページ)

[水野操 テクノロジーコラムニスト/3D-GAN,MONOist]

メカCADのレンタル

 さて最近、「メカ系3次元CADのレンタルライセンスって、これからの3次元モデリングの普及に役に立つのでは?」と考えているのです。

 かつて、2002年頃からしばらくの間ですが、CADベンダーのシンクスリーが3次元CAD「thinkdesign+thinkshape」のレンタル形式のライセンスを提供していました。年間36万円(後に、レンダリング機能を加えた「thinkiD」が年間45万円)で1年間使えるというサービスでした。当時、それなりに評価はされていたとは思いますが、残念ながら、そのようなライセンス形態が業界で定着することはありませんでした。

 レンタルライセンスは、クラウドサービスと結び付きが強いものです。当時はまだ、「クラウドコンピューティング」という言葉も一般的ではなく、ユーザーサイドに「CADは購入するもの」という意識が強く、レンタル形式そのものに抵抗が強かったのかもしれません。

 近頃のソフトウェア業界全般においては、レンタル形式が着々と増えてきている状況です。ここ数年間で、クラウドという世界に、世の中の人たちがぼちぼち慣れてきたからではないかと思っています。

 ところがメカ系3次元CADの場合、この手のライセンスへの取り組みがあまり活発ではありません。ようやく最近、その動きが見え始めたといったところです。ここ1、2年ぐらいの間で、CADベンダーのシーメンスPLMソフトウェアとオートデスクが、メカ系CADのレンタルライセンスを発表をしています。

 シーメンスPLMソフトウェアは、2011年にミッドレンジ3次元CAD「Solid Edge」の機能を限定した「Solid Edge DesignPad」を年間12万円(年間単位更新)でレンタルできるライセンスを提供開始しました。その当時の発表で、既にクラウドも意識していました。さらに2013年に入って同社は、そのオファーの拡充を発表しました(関連記事:「個人もターゲットに! 月額1万5000円でレンタルできる3D CAD、日本で10月から」)。まず「年払い」という制限を外し、「Solid Edge Design and Drafting」(Solid Edge DesignPad相当の機能)を「月払い」で1万5000円で利用できるようにしました。さらにこれまでレンタルではカバーしていなかった、「Foundation」「Classic」「Premium」といったSolid Edgeの上級ラインアップも加えました。最上位版のPremiumの場合は月額6万円。こちらは「一時的に追加のライセンスが必要になったときに使いたい」というニーズにはまる感じがしますね。

 オートデスクも、2011年からクラウドサービス「Autodesk 360」を提供開始して以来、クラウドまわりのサービスを充実させてきています。2013年6月には、月額25ドルの年間契約でレンタルできるクラウドCAD「Fusion 360」を提供開始しています(関連記事:「クラウドベースの3DCAD、米国で月額25ドルで提供開始」)。しかし残念ながら、現在、日本は販売ターゲットになっておらず、日本語版はありません。

 私自身はFusion 360をダウンロードして使用していますが、仕事で結構重宝しています。無償CADの123Dと違い、もう少し“メカCADらしい”使い方ができますし、データはクラウド上で保存されデータを更新すれば自動的にバージョンアップされます。インターネットにつながっているPCさえあれば、いつでもどこでも普通に操作できます。例えば事務所のWindowsPCで作業の後、自宅に戻ってからMacのノートPCで仕事しなければならくなったときも対応できるようになります。さらに、インポート/エキスポートも業界で標準的なフォーマットでできるので、データ交換も問題ありません。この価格で本格的な日本向けサービスも出れば、より価値が高まりそうです。

 さらにオートデスクは2013年9月に、Suite製品(ソフトウェアのセット)のレンタルライセンスも発表しています。それによれば、製造向けにかぎらず、いくつかのSuite製品で1カ月、3カ月、1年単位のライセンスを提供するとのこと。私の興味がある「Autodesk Product Design Suite」のStandardのベーシックサポートの場合、月額で5万2500円。

 オートデスクのSuite製品は、CADだけではなくてその他の製品もパッケージされています。それらを全て使いたい人にはお得感があるかもしれませんが、一部しか必要ない人にとってはどうなのか。それから、「どうせ毎月5万円を払い続けることになるなら、結局ライセンスを買う方がトータルではオトクなんじゃないか」という考えもあるでしょう。

 「設計の繁忙期のみなど、短期間だけ使いたい」という場合には有効ですし、年間プランの場合で申し込むと、もう少し割安になります。個人的には、こういうプランを拡張して、「Suiteではなくて、個別のプロダクトにも適用してほしい」というのが正直な希望です。私の場合、Suiteの中のツール全てが必要でなかったりしますから……。

 果たして、これらメカ系3次元CAD関連のレンタルサービス、高いと見るか安いと見るか……、使う人の考え方次第ではあると思いますが、微妙なところです。

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