好調なASEAN投資の一方で、目立ち始めてきたのが国内への設備投資だ。グローバル化や円高により生産拠点や技術拠点の海外流出が目立っていたが、円安傾向が続いていることや技術拠点としての役割などから、国内に再投資する動きも出始めている。
セイコーエプソンは、日本国内の2拠点に総額約160億円を投資し、プリンタ用のコア部品である新たなプリントヘッドの新規ラインを構築。量産を開始した。新プリントヘッドには、超微細MEMS加工や精密な装置制御など高度な技術が不可欠であるため、技術開発力のある日本国内で生産することを決め、諏訪南事業所と東北エプソンに投資を行い、ラインを立ち上げたという。
花王は、山形県の酒田工場内にサニタリー製品の新工場を新設する。約50億円の投資を予定しており、2013年9月に着工、2014年春に稼働予定としている。同工場では日本への商品供給だけでなく、将来的にはロシアなど海外への製品供給を行う予定だとしている。
ニチレイグループのニチレイフーズは千葉県船橋市に新たに調理冷凍食品工場を新設する。新工場にはラインの機械化や省人化など新たな技術を採用し、効率的な生産体制を構築する。投資金額は55億円で、稼働は2014年3月を予定。生産能力は年間約9000トンを計画する。
臨床検査機器などを扱うシスメックスは、グローバルでの検体検査機器の需要拡大に応えるため、新工場を兵庫県加古川市に建設することを決めた。新工場は敷地面積約3万m2で延べ床面積は約2万m2。投資額は39億円で、高機能モデルの生産を行う予定だという。
この他、引き続き中国や米国で拠点を強化する動きなども発表されている。新たな工場建設などによる生産開始は大半が2014年以降であるが、今後の需要変動などを見極めつつ、最適な生産体制を築くために、グローバルで再構築を進める動きが目立っている。
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