次に、今作成したデータをScanIPに読み込んで、メッシュ作成の作業を開始します。画像を読み込んだら処理のために前準備します。
ところでスムージングする場合、複数のマスクが重なる領域では、どのような順番で処理するかで結果が変わってしまうので注意が必要です。
優先度の高いマスクから処理が実行されますが、その順番は「Data Browser」(データブラウザ)で確認できます。ここで順番が意図通りでない場合は、データブラウザ上で入れ替えます。
今回は「インプラント→大腿骨→骨髄」の順番で設定します。
今回のストーリーでは、インプラントを使用するので大腿骨の骨頭の部分を除去します。
除去には、「3D editing tools options(3次元編集ツールオプション)」ツールを使用します。
後は、このキューブの大きさや形に対してハンドルを操作しながら場所を確定させたら、骨頭部を除去します。
この後はメッシュを作成します。
メッシュがこのように作成されます。基本的な操作は、大腿骨のみのメッシュを作成したときと同じなので、細かい手順はここでは省きます。
前回同様に、断面を切って中のメッシュの状況を確認できます。
また、透明表示にしてあらためて位置関係などを確認した後は、目的のソルバーの形式に合わせてデータを出力すれば作業完了です。
今回は駆け足で、スキャンデータからのメッシュの作成、CADから来たデータを取り込んでのメッシュ作成、とやってきました。
現在、設計者によるCAEがトレンドになっています。設計現場でのCAEの適用範囲は今後、どんどん拡がってくるでしょう。そして、解析データは、CADのジオメトリだけでなくなるでしょう。「スキャンデータによる現物ベースの解析」、あるいは「スキャンデータとCADで設計中のデータを合成しての解析」というケースが増えてきそうです。「CADでは形状の定義が難しい」、あるいは「図面や3次元モデルがなく、現物しか残っていない場合」に処理したい場合には、スキャンの作業や解析が必須になってくるでしょう。
「解析を目的にしているのであれば、スキャンデータからだって直接解析ができる」、そして「そんな手段が実際にあった」ということは、今回の冒頭でも言いましたが、私にとっては「目からウロコ」なことでした。
私自身、このような作業に慣れていないので、少々戸惑いました。が、いったん手順を覚えれば、作業の流れ自体は単純に進みました。もちろん実業務での作業はこんな簡単なものではなく、試行錯誤の繰り返しでしょう。
今回は比較的小規模なデータだったので、Core i5を搭載したPC(メモリ4Gバイト)で特に問題なく動きました。本当の作業では、メモリは大きければ大きい方が望ましいようです。少なくとも、現実の作業環境では16Gバイトかそれ以上は欲しいところ、という話も聞いています。
とはいえ、このような新しいツールを覚えることで、「自分がやれること」がさらに増えたように思いました。
たかがツール。されどツール。
新しい武器を手にすれば、エンジニアができることは増えるものです。もし、スキャンデータから解析データがご入用な方はぜひ一度試されてはいかがでしょうか。
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