自分が遊ぶものくらい自分で作ろう――FABLAB鎌倉訪問記3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(6)(3/3 ページ)

» 2011年07月29日 13時25分 公開
[水野操 ニコラデザイン・アンド・テクノロジー/3D-GAN,@IT MONOist]
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 いま、FABLABの一環でいろいろなことを考えていらっしゃるようです。例えば、「MobileなFABLAB」。大型車の中にFABLABの設備が一式入っていて、それであちこちに行ける。一昔前の移動図書館みたいですよね。

 自作で何かやりたいと思っても、自分で設備をそろえるのは大変、それに近くにはFABLABがない、という場合でもOKです。もし自分家の近くにFABLABがやってくれば、やりたい人は結構いるようです。

 FABLABのような施設は、従来の大量生産・大量消費的なモノづくりが求められるところには向かないのは確かです。しかし、「ちょっと自分の一品物を作りたい」「手に入らない物を作りたい」という場合にはとても有効だし、教育にも活用できます。

 日本では、「欲しい」と思ったら、大抵の物が手に入ります。一方、世界の国々では「そんなことは珍しい」という方が多いのです。例えばインドでは、どうしてもネットが見たい少年が、FABLABに「Wifiのアンテナを作って」とリクエストして、それが村に普及することになった事例もあるとか。

 自作できる環境さえあれば、子どもたちの才能を開花させるきっかけになるかもしれません。

 もともと、自分の日常的に触れている3次元のモデラーとか、RPを見ながら、それらを教育とつなげていきたいという思いが私にはありましたので、今回のFABLAB訪問は非常に大きな刺激になりました。

 ただ、いきなりこれらの設備をそろえたりすると、それなりの投資はやはり必要になります。そんなことを田中さんにつぶやいたところ、「いきなり全部をやろうとしなくてもいいんじゃないですか」と言われました。さらに、「金を集めるよりも先に、人を集めた方がよい」というアドバイスもいただきました。特にこのような活動では、確かに、きちんとしたビジョンとプランの上に人を巻き込むという方が動きも早そう。プランによっては、「Kickstarter」(ソーシャルファンディングサービス)で資金を集めてもよいし。

 そんなこんなで私の夢もさらに膨らんで参りました。

 田中さんが手掛けている「3次元CADとCAEを組み合わせたようなソフト」の話など、ほかにも聞きたいことがありました。この日の2時間が瞬く間に過ぎて、次のお客さまがいらっしゃり、その話ができなかったのが残念でした。そういうツールがあれば、ちょっと光の加減で見づらいのですが……、こんなカーテンを作ることができます(写真5)。

photo 写真5 材料物性を考慮したカーテン

 モデラー上で材料物性を考慮した形でモデリングをすれば、こんなたわみを計算に入れたカーテンがデザインできます。これは面白い。

 もっとお話をしたい、と思いつつ、今回の訪問は終了。

 取りあえずは、私の子どもの夏休みの工作には、3次元CGで何かをモデリングさせて、それをRPで出力することを予定しています。子どもも、結構乗り気です。

 自分が遊ぶものくらい自分で作ろう。

 3次元CADもRPもあるんだし。大事なのは最後までモノを作る環境が身近にあること。RPだけではただの箱。でも、3次元データだけでも、それは結局実態のないもの。――つまり、“両方つながる環境”が欲しいってことです。

 まずは環境から整えましょう。

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FABLAB
FABLAB鎌倉

Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。首都圏産業活性化協会(TAMA協会)コーディネータ。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わったほか、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開しているほか、マーケティングやIT導入のコンサルティングを行っている。著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)がある。




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