世の中には、寸法だけで決められない形状も多いでしょう。工業製品でもいわゆる自由曲面で定義するものがあるし、ましてやアニメのキャラクターのようなフィギュアとか、有機的な形状などのモデリングがその典型です。特に先ほどのクマのような形の場合には、モデリングの初期の段階では、寸法そのものよりも、見た目のバランスなどの方が重要です。そんなときにCADのように寸法で形状をいじるのは、やっぱり面倒くさい。エクスプリシットモデリングなどのCADだったら直接いじることができるだろうという説はありますが、そうは言っても、やっぱりポリゴンモデラーのような自由さではありません。要するに、粘土細工のように、寸法のことを忘れて形状をいじりたいときにはポリゴンのCGモデラーが向いているといえるでしょう。
先日の「俺グッズ」の記事の中で、クマ型のホルダーを作ろうとして、ネコになってしまったけれど、あれもどうもクマらしいバランスを取ろうとして失敗したのです。あれも、もうちょっと根気よくやれば、クマらしくできたのかもしれません。
しかし早い話、面倒だったのです……。本当にクマの形状のモノを出荷するのであれば、それでもやったのでしょうが、取りあえず記事の執筆が目的だったので、あれで妥協しました。やっぱり、あの手の形状はポリゴンをいじるように作れたら、もっと楽だったのにと思うのです。
何やら、当たり前の話を書いている気がしないでもないのですが、このようなことは、実は私自身がCADベンダーにいたときは、全く考えもしなかったのです。当たり前だけれど、お客さんもCADが向いた製品を作っている会社の人たちだけだったし、CGといえば、きれいな画像を作るくらいしか思い付かなかったのです。
では、実際にモノづくりの現場においてモデリングツールを使っている皆さんは、いかがでしょうか。CGツールを使っていても、グラフィック目的のみで使っているのか、あるいはモデリングのためのツールとしても意識しているのか? 残念ながら私は、その手の情報を持ち合わせてはいないので、知りたいのです。
例えばアニメなどの仕事をしていても、別にCGで形状を作らなければいけないわけではありません。いわゆる、ロボットを始めとするメカモノはCADで作った方が効率がよいでしょう。実際にそのように作っているところは既にあります。
で、今日の結論はというと……、やわらかいモノならポリゴンでモデリングを、かっちりしたモノは、数学的にしっかり定義されたデータを扱うことができるCADを、という話になります。
どの種類のツールを選べばよいのか、というときには、そのツールが使っているデータの形式を見れば、分かりやすいのではないでしょうか。それから、普段はCADのみをモデリングツールとして見ているのであれば、お持ちのCGもデザインツールとしてみて見れば、いろいろと仕事の幅が広がるのでは。
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