どんなソフトウェアを教育に使用するのがよいのか、というのも重要な問題ですね。幸い3D CADも3D CGも、使い勝手がよく入手しやすいものが増えてきました。例えば、CGと違って以前は無償とか安価なものが見当たらなかった3D CADでも、「123D Design」「MoI 3D」「SketchUp」「Creo Elements」をはじめとして、有償・無償さまざまな選択肢が増えてきました。
もちろん、教える人たちの考え方によって、これ以外のさまざまなツール(ソフトウェア)を使う場合がありますが、個人的に大事だと思うのは、受講に来る人たちが「継続的に使っていけるソフトウェアを使用すること」です。
どんなに、素晴らしいツールで学んだとしても、そのソフトウェアが高額なものであれば、継続して使っていくことが難しくなってしまいます。興味を持った人には、継続して使ってもらってこそ、3Dモデリングの裾野が広がっていく、ということになると思います。
継続して使ってもらう、という意味では実はソフトウェアの使い勝手と機能のバランスも重要になってきます。
一般には「3Dのモデリングは難しい」というイメージが強いと思います。だからこそ、ダウンロードしてすぐに使用できるSTLファイルの3Dデータ共有サイトがあったり、さらには、非常に簡単に3Dデータを作ることができるソフトウェアが出てきているわけです。これ自体は素晴らしいことです。例えば、私自身もそのような(初心者向け)ツールを使うことがあります。その理由は「初めての人が3Dモデリングをする、ということはどういうものかを体感するため」です。なにしろ、最初の段階で“引かれて”しまっては困るので……。
しかしその一方で、将来への発展性というのも持ち得ている必要があります。操作が簡単でシンプルなものは往々にして、もっと本格的にやろうとすると「機能が足りない」ということが起こりやすいのです。そういった場合は、新たにツールを学び直すということも必要でしょう。
最初の学習の機会につながってくるのですが、今のところ、リアルに学ぶことができる場はまだまだ限られています。東京近郊に在住だとしても開催の回数や場所は限られています。リアルな場だけでなく書籍で学ぶのもいいでしょうし、せっかくWeb関連のテクノロジーが発達した時代なので、動画など最近どんどん増えてきているWeb上でのインタラクティブな学びの場ももっと使っていきたいですね。
というわけで、3D-GANでも私個人でも、3Dモデリングの教育分野は力を入れていこうと考えておりますので、同じくこの分野にご興味のある方がいらっしゃったら、ぜひ、一緒にやっていけたらいいなと思っております。
ということで、本日はこちらで失礼いたします。ではでは。
ちなみに先般、「動画でマスターする、3Dデータのつくり方」のトレーニング動画の作成にご協力させていただきました。3Dモデリングによる造形の基本的な概念を理解し、モデリングの簡単な流れやモデルの構成要素について把握できるようにしています。ぜひご覧ください。
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