CAE解析とExcelを使いながら冷却系の設計を“自分でやってみる/できるようになる”ことを目指す連載。連載第6回は、円筒座標系の熱伝導方程式を解き、電線に何アンペアまで流せるかを求める。
円筒座標系の熱伝導方程式を解いて、電線に何A(アンペア)まで流せるかを求めましょう。
今回の設計モチーフは、図1に示す電源につながれた導体(電線)です。
電流が多過ぎると導体が発熱し、絶縁被覆が焦げたり溶けたりします。導体と絶縁被覆の最高温度を求めましょう。絶縁被覆の最高温度が、例えば40[degC]となるような電流値を逆算すれば、電線に何Aまで流せるのかが分かります。
導体内部の温度分布は式1で表されます。
Aは単位体積当たりの発熱量であり、式2、式3で表されます。
導体の抵抗は式4で求められます。
被覆内部の温度分布は式5で表されます。
被覆表面の温度T2は式6、式7で求まります。
主流の温度は室温ですね。20[degC]としましょう。熱伝達率は自然対流熱伝達の大きめな値とし、10[W/m2.K]にします。導体の熱伝達率は銅の値として384[W/m.K]に、絶縁被覆の熱伝達率は樹脂材料の代表値として0.8[W/m.K]に、銅の比抵抗は1.818×10-8[Ohm.m]にしました。表1に設計計算シートを示します。
表1は、ヘアドライヤーのコードを想定しています。1000[W]のドライヤーと仮定し、電流値は10[A]、被覆の厚さは0.5[mm]としました。被覆表面の温度T2は36.8[degC]となり、ヘアドライヤーのコードはちょうど人肌程度に温められることになります。
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