例えば、タイの食品加工会社ナロン・シーフードは、2012年に違法ITの使用を米国マサチューセッツ州で指摘され、1万ドルの民事制裁金を課す法的措置が取られた。この事例では、ナロン・シーフードそのものが違反を認識していたわけでなく、同社が委託していたITアウトソーシング先が違法ソフトを利用して同社のシステムを構築していたことによるものだったが、摘発に至った。最終的に民事制裁金と同額を支払うことで和解している。
また、2013年に入ってからも、カリフォルニア州で、デザイン業務においてライセンスのないソフトウェアおよびITを利用したということで、中国とインドの衣料品製造企業で訴訟が提起されているという。
在タイ米国大使館商務部 米国特許商標局 東南アジア知財担当官のピーター・ファウラー氏は「既に複数の州において、州の経済に基づく影響を考慮し、外国の輸出業者を相手取った不正競争の事案について調査中だ。今後の訴訟のブームは部品製造業者やサプライヤーを相手取ったものになるだろう」と指摘する。
これらの状況に対して取るべき対策とはどういうものがあるだろうか。
米国のNPO法人CREATe.org日本代表で弁護士の名取勝也氏は「企業の取りうる対策は5つある」と指摘する。以下がその5つだ。
名取氏は「日本企業もサプライチェーンのグローバル化が進む中、全てをコントロールすることは難しくなっている。その中でどうやってリスクを低減させていくのか、という考え方が大事だ」と話す。
不正防止競争法による摘発は現状、和解で解決するケースがほとんどで、まだ裁判を行い結果に至るケースは出ていないという。しかし同様の動きが米国各州だけでなくカナダにも広がる動きが見せている。北米ビジネスを展開する製造業にとっては、注意が必要だ。
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