パナソニック コネクトが国内向け物流ソリューション事業の方針について説明。「現場から始める全体最適化」をコンセプトに、2024年4月に立ち上げたSCM事業センターを中核とする約700人の体制で、2030年度までに製造業や消費財、小売りを中心に50社の採用を目指す。
パナソニック コネクトは2025年6月20日、東京都内で会見を開き、国内向け物流ソリューション事業の方針について説明した。「現場から始める全体最適化」をコンセプトに、2024年4月に立ち上げたSCM事業センターを中核とする約700人の体制で、2030年度までに製造業や消費財、小売りを中心に50社の採用を目指す。
2021年9月にSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションベンダーのブルーヨンダー(Blue Yonder)を買収して以降、パナソニック コネクトはSCMソリューションを事業成長の柱とする方針を打ち出してきた。2023年5月にはブルーヨンダーに3年間で2億米ドルを投資することや、2024年3月にはブルーヨンダーが8億3900万米ドルで米国One Networkを買収することなどを発表している。
ブルーヨンダーへ投資する一方で、そのブルーヨンダーのソリューションや同じく傘下のゼテス(Zetes)の倉庫管理ソリューション、パナソニック コネクト自身のSCM関連ソフトウェアやハードウェアなどを組み合わせて国内向けに物流ソリューション事業を展開する組織の強化も進めてきた。パナソニック コネクト 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント 現場ソリューションカンパニー プレジデント Blue Yonder Japan協業推進担当の奥村康彦氏は「SCM事業の歴史という意味では、ハンディターミナルの開発から始まったパナソニックグループは国内で45年の実績がある。そこに、41年の歴史を持ち40カ国以上で事業を展開するゼテス、40年の歴史を持ち80か国以上で事業を展開するブルーヨンダーをグループ会社化したことで、国内向けにSCM事業を展開するための体制の整備が着々と進んできた」と語る。
2024年4月には国内SCM事業の中核を担うSCM事業センターが発足している。これと並行して、ブルーヨンダーの開発拠点であるインドと主力市場である米国にパナソニック コネクトから人材を派遣し、グローバルレベルの先進的なSCMの知見を獲得するなどして人材育成を推進。また、ブルーヨンダーやゼテスとのソリューション共同開発なども行っており「人材とソリューションの両面で日本国内に向けてSCM事業を展開する準備は整った」(奥村氏)という。現在、パナソニック コネクトの現場ソリューションカンパニーは約4000人の体制だが、そのうち約700人が国内SCM事業に携わる専門チームとなっている。
パナソニック コネクトが国内でSCM事業を展開する上で注力する領域となるのが「物流の現場」である。奥村氏は「日本のSCMは現場で働く人の知恵や工夫で支えられてきた歴史があるが、これが現場のデジタル化を阻む属人化の要因になっている。特に物流業界の現場は、アナログな運用がまだ多く残っている。当社は『現場から始める全体最適化』をコンセプトに、顧客とともに日本企業のSCMを変革していきたい」と意気込む。
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