パナソニック コネクトは2024年3月29日、同社傘下であるSCMソリューションベンダーのブルーヨンダーが、米国One Networkを8億3900万ドル(約1270億円)で買収すると発表した。
パナソニック コネクトは2024年3月29日、同社傘下であるSCM(サプライチェーンマネジメント)ソリューションベンダーのブルーヨンダー(Blue Yonder)が、米国One Networkを8億3900万ドル(約1270億円)で買収すると発表した。買収を通じて、複雑なサプライチェーンをエンドツーエンドで可視化し、最適化するための基盤構築を狙う。
ブルーヨンダーはOne Networkを買収後、100%子会社とする方針。今後、各国での審査を経て2024年度第2四半期(2024年7〜9月)までに買収を完了させる予定だ。
ブルーヨンダーが買収するOne Networkは、複数企業間でのサプライチェーンのコラボレーションやデータ共有、可視化のソリューションなどを提供する米国企業だ。複数の企業が同じプラットフォーム上で、モノの需要と供給や売買、物流、在庫に関するデータをリアルタイムで活用できるようにする。現時点で、15万社以上が同社プラットフォームを利用している。同社のCAGR(年平均成長率)は2019年から2023年にかけて16%と高成長を遂げている。
パナソニック コネクト 代表取締役 執行役員 プレジデント・CEOの樋口泰行氏は「今回の買収は今までの投資とは異なる、圧倒的なゲームチェンジャーとしての意味を持つ」と強調した。現在、大手企業を中心に3000社以上がブルーヨンダーのSCM最適化ソリューションを活用している。ただ、サプライチェーンの最適化を進めるには、大手企業だけでなく、その取引先のネットワークまで含めて全て可視化していく必要がある。
One Networkはすでに15万社が参加するサプライチェーンソリューションのプラットフォームを持つ。これに加えて、ブルーヨンダーの顧客がプラットフォームに参加するようになれば、その取引先もまたプラットフォーム上でのネットワークに加わっていき、「参加企業は指数関数的に増え、可視化の範囲も大きく広がる」(樋口氏)ことが予想される。さらに、サプライチェーンの可視化の範囲が広がることで、ブルーヨンダーのSCM最適化ソリューションで活用するAIモデルの計算精度も向上し得る。
例えば、自社以外のサプライチェーンネットワークで生じているモノの動きや運送状況などを、リアルタイムで可視化できるようになる。あるサプライヤーが特定の製品の在庫がないことが分かれば、自動的に在庫がある他のサプライヤーを探すことができる。さらに、代替するサプライヤーを確定する前に、運送業者のスケジューリングも行い、その配送計画をサプライヤーに伝えるところまで自動化するといったコラボレーションが実現し得る。
ブルーヨンダー CEOのダンカン・アンゴーヴ氏は「One NetworkのSCM基盤はサプライヤーや物流業者も価値を享受できる点が特徴だ。企業固有のシステムを変更することなく、簡単にネットワークに参加できる。一方で、サプライチェーンの最適化エンジンはブルーヨンダーの方が優れている。ブルーヨンダーの最適化エンジンをOne Networkのネットワークに適用することで、サプライチェーンをエンドツーエンドで最適化していける」と買収の意義を語った。
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