パナソニックはSCMソリューションの協業先になぜブルーヨンダーを選んだのかサプライチェーン改革(1/2 ページ)

パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2020年6月24日、オンラインで記者会見を開き、同社が出資を発表したBlue Yonder(ブルーヨンダー)との協業によるサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューション事業の方向性について説明した。

» 2020年06月25日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2020年6月24日、オンラインで記者会見を開き、同社が出資を発表したBlue Yonder(ブルーヨンダー)との協業によるサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューション事業の方向性について説明した。

 パナソニックは同年5月20日、8億米ドルを投資してブルーヨンダーの株式を20%取得する資本提携を発表している。2019年1月に両社技術の統合を進める協業を開始してから、同年4月に日本市場向けに工場、倉庫、流通業向けSCMソリューションを提供する合弁会社の設立を決めるなどしてきたが、資本提携まで踏み込むことで、より緊密かつ日本国内だけにとどまらないグローバルな協業が可能な体制になる。

 両社は、ブルーヨンダーが展開する計画系から実行系にわたるSCMのITソリューションと、パナソニックが約30カ国に展開する約300工場で製造したモノを顧客に届けるために培ってきたさまざまな知見とノウハウを融合させていく方針だ。

 パナソニックは、この事業体制について、「上空」「低空」「地上」という3つの階層からなる模式図で説明している。サイバー空間に当たる「上空」と「低空」は、現在と同じくブルーヨンダーのSCMのITソリューションがカバーする一方で、パナソニックが得意とするIoT(モノのインターネット)やセンシング、自動化、ロボティクス、画像認識などの技術によって「地上」からさまざまなデータを得て、ブルーヨンダーが展開する「上空」と「低空」につなげていくことが協業の強みになる。

パナソニックの強みを生かすSCMソリューション パナソニックの強みを生かすSCMソリューション(クリックで拡大) 出典:パナソニック、ブルーヨンダー

 Blue Yonderジャパン 執行役員の白鳥直樹氏は「現場から収集したデータとITシステムを連携させるプラットフォームを構想している製造業は幾つかある。しかし、サプライチェーンに特化して取り組んでいるのはパナソニックとブルーヨンダーだけだ。競合が出てくる前に先行しておきたい」と語る。

SCMソリューションの全体像とカバレッジイメージ パナソニックとブルーヨンダーの協業によって提供できるSCMソリューションの全体像とカバレッジイメージ(クリックで拡大) 出典:パナソニック、ブルーヨンダー

海外もサプライチェーンのデジタル化は道半ば

 日本のSCMには多くの課題があり、さらなるデジタル化が求められているが、海外もまだ道半ばだ。ブルーヨンダーと英国のワーウィック大学が2020年3〜4月に行った小売業向けの共同調査によれば、サプライチェーンのデジタル化の到達度合いを1〜4の成熟度レベルで表した場合、初期段階にとどまる企業が多数だったという。成熟度レベルの平均は2.1で、3レベル以上は12%、倉庫の完全自動化を図っている企業は10%にすぎなかった。

小売業のデジタルサプライチェーンの成熟度レベル 小売業のデジタルサプライチェーンの成熟度レベルは平均で2.1とそれほど高くない(クリックで拡大) 出典:パナソニック、ブルーヨンダー

 パナソニック CNS社 上席副社長 事業戦略担当 経営企画担当の原田秀昭氏は「同じように技術レベルがある自動運転と同じで、より高いレベルを実現しようとするとたくさんのセンサーが必要になる。自動運転の場合は自動車メーカーなどがセンサーを組み込むことになるが、サプライチェーンでは誰がその役割を担うのか。パナソニックにはそのための知見とノウハウがある」と強調する。

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