自動車14社が参画、CLOとAI連携で“フィジカルインターネット”実現へ製造マネジメントニュース

経済産業省と国土交通省は、「2026年度 第3回 フィジカルインターネット実現会議」を開催し、ロードマップの改訂版を発表した。自動車ワーキンググループの設置や、CLOへの期待などを新たに追記した。

» 2026年07月28日 07時30分 公開
[安藤照乃MONOist]

 経済産業省と国土交通省は2026年7月17日、持続可能な物流システムの構築を目指す「フィジカルインターネット実現会議 2026年度第3回」を開催し、フィジカルインターネット・ロードマップの改訂版を発表した。同ロードマップは、2040年までに物流網やデータ基盤を企業/業界横断で共有する次世代物流システムの実現を目的に2022年3月に策定されたもので、2025年6月に続く2回目の改訂となる。

 今回の改訂では、物流効率化法の改正により一定規模以上の荷主企業に義務付けられた物流統括管理者(CLO)の経営視点での役割への期待や、AI(人工知能)技術を活用して自社システムの仕様を維持したままプラットフォーム間のデータ連携を可能にする手法、第2回会議で承認された自動車ワーキンググループ(WG)の設置などを新たに追加した。

自工会14社が参画する自動車WG発足、2028年共同物流に向け検証スタート

 改訂版に正式に盛り込まれた自動車WGは、日本自動車工業会(自工会)が設立を求めていたもので、同年7月1日の第2回会議で設置が承認された。自工会に加盟する全14社(いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、ヤマハ発動機、UDトラックス、カワサキモータース)が参画する。

自動車WG設置の概要 自動車WG設置の概要[クリックで拡大] 出所:フィジカルインターネット実現会議

 WGの母体となるのは、2026年6月に発足した「共同物流タスクフォース(TF)」である。同タスクフォースは、自工会に加盟する全14社トップの承認のもと、各メーカーのCLOがリードする組織で、スピーディーな意思決定のもとで業界内の共同物流オペレーションやデータプラットフォームの構築、維持運営スキームの検討を進めるために設立した。今回、この自工会TFを、フィジカルインターネット実現会議の枠組みにWGとしてビルトインする。自動車業界内の物流効率化にとどまらず、実現会議に参加する他業界との水平連携も目指す。

WGの体制と運用イメージ WGの体制と運用イメージ[クリックで拡大] 出所:フィジカルインターネット実現会議
WGの3年間のアクションプランイメージ WGの3年間のアクションプランイメージ[クリックで拡大] 出所:フィジカルインターネット実現会議

 今後は、帰り便を活用した往復ループや、資源循環を支える物流の構築、災害時等の代替ルート確保による「止まらない物流」の実現を目指す。具体的には、2026年8月末を目標に成立性検証を完了させ、まずは専用機材を伴う完成車物流において、2028年からの共同物流開始を目指す。その後は、汎用機材を用いる補修品や調達部品の物流へも協業範囲を広げる計画だ。また、スーパーマーケットや家電、化学品といった先行する他業界のWGと連携し、物流/商流データを共有する業種横断のプラットフォーム構築を進める。

データ形式の標準化にAI技術を活用

フィジカルインターネット・ロードマップ(2026年度改訂) フィジカルインターネット・ロードマップ(2026年度改訂)[クリックで拡大] 出所:フィジカルインターネット実現会議

 今回のロードマップ改訂では、コードやデータ形式、輸送用パレットを統一するといった従来の標準化手法に加え、AI技術を活用してシステム接続を補完する方針が新たに追加された。具体的には、プラットフォーム間の条件調整を行う自動交渉などにAI技術を導入し、プラットフォーム同士を接続する際にAIがデータ形式や仕様の差異を補完する役割を果たす。

 このAI技術の活用により、個々のプラットフォームや企業が持つ独自のデータ形式や仕様を維持したままでの接続が可能となる。自社システムを統一規格へ改修する企業負担の軽減が見込め、今後は「標準化の進展」と「AI技術の活用」を同時並行で進める方針だ。

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